国内3強を狙う京都市の"隠れ餃子愛"とは? 実は1世帯当たりの餃子支出額トップ5の常連!
■餃子の王将無料券の思い出 ここまで、京都人の餃子愛を紹介してきたが、愛を語る上で欠かすことのできない存在が、京都で1967年に産声を上げた「餃子の王将」だとみんな口をそろえて言う。前出の夷川餃子なかじま団栗店の大藪さんもこう語る。 「みんな王将の餃子を食べて大きくなったって感じです。そもそも京都人が中華料理店に行くと、注文は『ライスと餃子』『ラーメンと餃子』『天津飯と餃子』とにかく『○○と餃子』なんです。それで私も『お風呂と餃子』もありや!となったわけです」 さらに餃子歩兵の西林さんは店名を王将へのリスペクトから名づけたという。 「京都で餃子といえば『王将』さんです。京都で餃子店をやるのであれば、『王将』さんにちなんだ名前がいいと思い、将棋の駒の中で一番基本に忠実な『歩兵』から始めて、常に基本を忘れずにということでこの店名にしました」 さらに、街行く50代男性に餃子の王将の話を振ると、しみじみ答えてくれた。 「子供の頃よく新聞の折り込みチラシに王将のチラシが入ってて、そこに餃子1人前無料券がついていたんです(現在は餃子2人前以上注文で1人前無料に変更)。それを学校の仲間で『昨日、王将のタダ券入ってたやろ。みんなで食べに行こうぜ』と放課後に集合。懐かしい思い出ですね」 70代の男性は創業当時、街中でも餃子の王将の関係者が餃子1人前無料券を配っていたと話す。 「ひとり何枚でももらえたんです。ただ、一回の食事で1枚しか使えませんでしたけど。そうやって無料券を使って通ううちに餃子を頼まんと物足りないような感覚になってしまうんです。それで無料券がないときでもつい餃子を頼んでしまうようになる。もちろんその癖がどの店に行っても出てしまい、中華(料理店)に行ったらとりあえず『餃子』という感じになったんですわ」 と京都人が餃子を頼まずにいられなくなった背景まで分析してくれた。 最後に気になるのは、そんな京都人たちは餃子支出額が3強に後れを取っているのをどう思っているかということ。先ほどの70代男性に続けて聞いてみた。 「まあ。京都はコーヒーやパンの支出額もトップクラスで意外やと言われますからね。これで餃子まで1位になってしまったら、全国の皆さんにえらい驚かれますやろ。今のままでええんと違います」 観光都市ならではの余裕なのか、はたまた闘志を内に秘めているだけなのか。来年「いきなり1位に」なんてこともありうる話。今から目が離せない。 取材・撮影/ボールルーム