中小企業の代替わり支援へ税優遇の条件緩和、「後継者は役員3年」撤廃…政府・与党
政府・与党は、中小企業の経営者の代替わりを支援する「事業承継税制」について、「後継者が3年以上、役員に就いている」という税優遇の条件を、事実上撤廃する方向で調整に入った。与党の税制調査会で詳細を詰め、2025年度税制改正大綱に盛り込む。
事業承継税制は、後継者が現在の経営者から自社株式を引き継ぐ場合、死亡に伴って引き継ぐ際の相続税や、生前贈与の際にかかる贈与税の負担を軽くする。
現在のルールでは、代替わり前に後継者が3年以上、取締役などの役員を経験している必要がある。2027年末が期限となっているため、税優遇を受けるには今年末までに後継者が役員に就任しなければならない。与党税調は、代替わり前に役員に就任していれば、税優遇を認めるという案を軸に見直しを検討している。
政府は、今年6月に決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に、「役員就任要件の見直しを検討する」と盛り込んだ。財界や経済産業省なども、要件緩和を要望していた。
与党税調では「かなり恵まれた税制だ」と緩和に難色を示す声も上がったが、後継者不足のために廃業する企業は増えており、政府・与党は事業承継を税制面で強力に後押しすべきだと判断した。