「これが最後」「外タレの来日公演かよ!」日産 R35型GT-R、首都高でブイブイ言わせたら大黒PAに人だかりができた!
● GT-RプレミアムエディションT-specを 首都高で走らせてみた それではクルマに乗り込んでみよう。 シートに座り、シートベルトを締め、ドアを閉める。ボスンと重厚な音が響く。スタートボタンを押し、エンジンをかける。「ブボー」と乾いた大きな音が響く……と思いきや、排気音は意外なほどに静かに抑え込まれている。 まったく当たり前の話なのだが、GT-Rのような特別なクルマも、厳しい車外騒音規制には対応しなければならない。だが騒音を抑え込もうと、太いタイコや長い管のマフラーを付けると、排気抵抗が大きくなり馬力は落ちてしまう。さらに音がショボくなるとドライバーの高揚感もダダ下がりしてしまう。スーパースポーツカーには、それにふさわしいサウンドが必要なのだ。騒音の発生を抑えつつ、高いパワーは維持しておきたい。さらにドライバーの高揚感を煽る“適切な音づくり”もしなければならない。それぞれに相反する要素のバランスを取りながら、高い次元で融合させなければならない。エンジニアは大変だ。 ギアを入れて走り出す。GT-Rの初期モデルは、ここでガチャガチャと盛大な機械音がした。歯車が床を突き破って飛び出してくるのではないかと肝を冷やしたものだが、最新のGT-Rは違う。怖い音がしない。2速、3速、4速と実に小気味よくシフトアップしていく。強力かつスムーズな加速。荒々しいイメージで、実際に荒々しかったGT-Rが、適切に調教され、しつけられている。荒馬が名調教師の手にかかり、上質な競走馬にしつけられたようなイメージだ。
首都高速湾岸線を横浜方面に向かう。ステレオから音楽が静かに流れている。走行音はしっかりと抑え込まれている。サスペンションを「Comfort」に設定しておくと、継ぎ目の段差もまったく気にならない。タイヤの音だけが軽く「トトン」と響く。「ドスン」という感覚は一切感じない。静かに穏やかに、しかし、ひとたび鞭を入れれば、鬼のように速く走る。「GT」という言葉は、このT-specのためにあるのではないか。 玉にキズがあるとすれば、あまりに快適がゆえに速度感がないことだ。気がつくとヤバい速度領域に達している。そんな感じだ。 流れに乗って快適に飛ばしていると、後ろから今どき珍しい煽り車がグイグイと距離を詰めてきた。真後ろに付き、尻を突いてくる。面倒な野郎だ。前が詰まっているのだから仕方がないだろう。大切な試乗車で揉めるわけにはいかない。道を譲る。安っぽいマフラーに換えた旧型のシビックTYPE Rが安っぽい音を立てて加速していく。そして前のクルマの尻にピッタリ張り付いて蛇行している。ドラレコが普及し、四方八方から録画されているこの時代に、まだこんな運転をする輩(やから)がいるのか。パトカーに捕まってしまえ、と思う。 ● さすがGT-R、大黒PAに止めた途端に 人だかりができた 橋を何本か越えて、大黒パーキングエリアに入る。木曜日の夜は大変なにぎわいだ。大勢の外国人観光客がカメラを片手に場内を探索している。もちろん日本人も多い。 さすがはGT-R。クルマを止めるとあっという間に人だかりができた。海外のYouTuberだろうか、マイクを片手に「GT-R! GT-R!」と連呼している。海外での人気がうかがい知れる。GT-Rは、日本よりも海外での人気が高いのだ。 熟成に熟成を重ね、もはや完成の領域に達したGT-R。このクルマはどこに向かうのか。「R36」はあるのか、ないのか。次期型はポルシェ同様、電動化されるのか。興味は尽きない。 考えても分からないので、次号ではブランドアンバサダーにお話を伺おう。