「これが最後」「外タレの来日公演かよ!」日産 R35型GT-R、首都高でブイブイ言わせたら大黒PAに人だかりができた!
● 2007年登場のNISSAN「R35型GT-R」は 17年でどこまで進化した? 2007年12月の登場から既に17年。まるで外タレの「最後の来日公演」のごとく、このところ何年も「これが最後」と噂されていたR35型GT-Rが、いよいよフィナーレを迎える。 現行型R35型GT-Rは、来年の8月をもって生産を終了する。年次改良が繰り返し施されてきてはいるものの、ここまで長く同一モデルが造り続けられた(しかもキチンと売れ続けた)クルマも珍しい。 17年前。“世界最速”を高らかにうたったGT-Rは、わずか777万円の激安価格で発売された。最高出力は480馬力。それが翌年には5馬力アップの485馬力に、2010年には燃費を向上させつつも、530馬力まで向上させている。今から14年も前に、既にスーパーカーの一つの基準となる“オーバー500hp”を達成しているのだ。 翌2011年には550馬力に、最新の2025年モデルでは、実に570馬力を達成している。最廉価版であるピュアエディションの価格は、1444万3000円。1000万円を楽勝で上回る価格設定だが、何しろ製造コストのかかるクルマである。諸所物価高騰の折、これはやむを得ないだろう。 17年の時を経て、GT-Rはどこまで進化したのか。 今回の「走りながら考える」は、日本の至宝であるR35型GT-R、最終年次版のインプレッションをお届けする。
● 今回、プレミアムエディション T-specに試乗した理由 ちなみにGT-Rの販売受付は既に終了している。「もう買うことのできないクルマの感想を記事にしてどないすんねん!」とお叱りを受けそうだが、これにはもちろん背景がある。 生産終了が正式にアナウンスされたGT-Rの17年間を総括していただき、さらにはこれからどうなるのか。次期型の構想はどうか。つまり「GT-Rのこれまでとこれから」をうかがおうと、ブランドアンバサダーの田村宏志氏にインタビューの申し込みをしたところ、「話はクルマに乗ってからだ」とあえなく却下されてしまったのだ。「最新のGT-Rに乗っていないやつにGT-Rの話をしたって、チンプンカンプンだろ?」とにべもない。複数グレードのあるGT-Rの中から、田村氏に指定されたクルマはプレミアムエディションT-spec。通称“Tスペ”と呼ばれるモデルだ。「T-specが一番GT-Rの進化を実感できるから」とのことだった。 T-specは高額だがエンジンの基本性能は「数字的」には廉価版と同じである。ただしバランスが違う。ピストンリングやコンロッド、クランクシャフトなどに、3000万円超えのNISMOスペシャルエディションだけに採用されていた「高精度重量バランス部品」が新たに採用されたのだ。当然スムーズに回る。振動も騒音も少なくなる。 ● T-specだけの専用部品が たくさん使われている 試乗の前に、まずはクルマの周囲をぐるっと一回り。 ボディカラーはT-specだけに設定された「ミレニアムジェイド」である。ブロンズに塗装された超軽量のアルミ鍛造ホイールはレイズ製。その内側をのぞくと、鈍く光を放つ大口径のディスクが見える。NCCB(Nissan Carbon Ceramic Brake)である。軽量で耐熱性に優れたカーボンセラミック製のブレーキローター。このブレーキセットだけで安いクルマが1台買える超高額のパーツである。高い制動力はもちろん、微妙なコントロールが可能になる。 車両の後部に回る。後端ギリギリに設置されたリアスポイラー。長く広くなり、翼断面形状も見直され、さらに取り付け位置もより後部に変更されている。これにより従来型と比べて1割以上もダウンフォース(クルマを下に押し付ける力)が増加している。 リアスポイラーの下にはGT-Rのエンブレムが光る。併せて黄金色のT-spec専用バッジが配されている。遠目に見ると、これが特別なGT-Rであることには気付かない。色も地味だ。「控えめな特別車」。それがT-specである。