「いじり」と「いじめ」その境界はどこ? ボーダーを間違えないリーダー術 上司が意識すべき3つの特徴とは
ここまで見てきた特徴は、同期や仲間、上下関係があっても心許し合える間柄なら成り立つ。だが上司と部下の関係性ならどうか。 上司の「いじり」が苦痛であっても、部下という立場だと言い返せないし、新入社員なら「社会人になったんだから、これぐらい耐えないと」とムリして受け入れる人もいるだろう。 ■「いじめ」とは何か? 3つの特徴 では「いじり」ではなく「いじめ」になる行為の特徴とは何か? (1)一方通行である
(2)苦痛を与える (3)関係性がない 第一に「いじめ」は「一方通行」だ。一方的に相手を攻撃するコミュニケーションで、いじめる側といじめられる側の立場が固定している。「いじり」と違って、入れ替わったりしない。 したがって、AさんがBさんに「今日も髪型がダサいな」と言って、Bさんがそのまま黙り込んでしまったら「いじり」ではなく、「いじめ」に遭ったと受け止めているかもしれないのだ。 そして2つ目は相手に「苦痛を与える」という特徴だ。そのやりとりに「笑い」がないのだ。
「お前のお腹はボヨンボヨンだな」と言われた相手が、「なんでお前にそんなこと言われなくちゃいけないんだ。傷ついた」と深刻に受け止めたら「いじり」ではない。周りにいる人も笑えないだろう。 3つ目は「関係性がない」という特徴だ。前提として信頼関係があるから「いじり」は成立する。しかし「いじり」が許される関係だと、相手が思っていなかったらどうだろう。 その場合、「お前が出世できたのは、仕事もせず社長にゴマばっかりすってきたからだろ?」といじってみたところで、相手は「何言ってんだよ! 俺は俺なりにがんばって仕事してきたよ。失礼だろ」と不快に思うかもしれない。
昔は仲のよい間柄だったとしても、ちょっとしたタイミングで関係が悪くなるケースもある。その場合、昔は許されていた「いじり」が通用せず、「いじめ」と受け止められてしまう。相手が声をあげてくれればまだいいが、そうでなければ“被害者”は心に深い傷を負うだろう。 ■「いじり」と「いじめ」の境界線と見極め、そして上司が気をつけたいこと 「いじり」と「いじめ」の境界線を引くのは難しい。しかし、次の3つの視点で判断することはできないだろうか。