災害支援、にぎわい作り……自治体との提携も続々、コロナ禍を経たキッチンカーの「いま」を聞く
「○店舗にまで増やす」のではなく……
欠かせないのが行政との連携だ。公園などの公共スペースへの出店は、防災対策の面からもニーズがあるほか、にぎわい創出の観点でも自治体にメリットがあることから、連携できないかとの声もあるという。 しかし、キッチンカー事業は公園課、地域振興課といった複数の部署との調整を必要とする。そのため、縦割り組織が障壁になってしまい、導入の話があっても民間企業と比べてなかなか進まないケースが多いそうだ。 提携が成功した例もある。世田谷区では部署をまたいだ横断型チームがMellowと提携し、役所前や公園にキッチンカーを導入。にぎわい創出に一役買う結果となった。少なからぬ反響があり、他自治体からの問い合わせにもつながっているとのことだ。 避難所で炊き出しを実施する旨の自治体との協定は、Mellow以外の事業者においても増えつつある。石澤氏は「千葉県など、発災時に備えて実施要件を明文化する自治体も出てきた。平時はしっかりと事業者が成り立つ経済活動を行い、発災時はそれをぐるっと支援の場所に変えられる体制を作りたい」と話す。 Mellowは今後、どのように事業を広げていくのだろうか。石澤氏は、「『何店舗にまで増やす』というよりは、社会的なネットワークにしていきたい」と語る。 「主に浸透しているのは首都圏ですが都心に偏っていて、郊外の団地などにはなかなか進出できていません。でもそういう所の方が、僕らのサービスは活きるはずなんですよね。ローカルエリアに広げていくためにも、まずは各都市に拠点を作っていけたらと思います」
ITmedia ビジネスオンライン