驚きの品揃え「トライアル」「久世福商店」が展開する新業態
7月上旬。新店舗オープンに向け、廣石さんは商品開発を統括する大塚長務さんを訪ねた。大塚さんは元・和食の料理人で、外食チェーン「明治屋」の社長。8年前、トライアルグループとなった。 大塚さんが加わったことで、トライアルは食品の開発をより強化しようと去年、「トライアル ゴー」の本格展開を見据え、料理別の専用キッチンをつくった。「安いからと言って(質を)妥協するのではなく、一品一品が深くならないと戦えない時代になっている」と大塚さん。新店舗の成功は、大塚さんが生み出す“目玉商品”にかかっていた。
オープンまで3週間。目玉商品の開発を託された大塚さんは、大型店で人気のプルコギを、より手軽にする新商品を考えていた。電子レンジで温めるだけで調理が終わり、1人前を199~299円に設定。使うのは外国産の牛肩ロースで円安のため高騰しているが、大塚さんは、「プルコギに最適な肉が欲しい」とこだわった。さらにコンビニと差別化するため、冷凍や調理済みではなく、生肉での商品化を目指す。
大塚さんがもう一つの切り札として考えていたのが、普段、飲食店で働くプロの料理人たちが考えた商品を競わせる「新商品コンテスト」。今回のテーマは「500円以下の焼き菓子」で、審査には廣石さんも参加。エントリーされた39品の中から新店舗で売り出すスイーツを決める。 洋菓子店のパティシエが提案したのは、新感覚のシュークリーム。牛乳をムース状にしたクリーム入りだ。インパクト大の「めんパイ」は、生地に明太子を塗って焼き上げ、クリームの中にも明太子を入れた。「初めての感じ」と大塚さん。果たして、目玉商品に選ばれたのは?
7月26日、新店舗「トライアル ゴー 福岡別府3丁目店」がオープンした。24時間営業の都市型小型店。見た目はコンビニのようだが、青果、精肉は充実しており、総菜・弁当はスーパーならではの品揃え。どれも格安で、その中身は別物だった――。