【証言・北方領土】国後島・元島民 池田英造さん(4)
日本のためには北方領土の海域が必要
――2島基軸に、という話に対して考えは。 俺ら漁業やってるわけでしょ。大変厳しいのさ。だから、2島でも返ってくれば、漁できれば、即あしたの糧なるのさ。ね。自分はいいのさ。孫・子の代になったらね、どうかっていうことを考えたら、ばかにされるぞと。おやじたち何やってんだ、って。大体、2島返ってきて、これだけの海域でしょ。土地の面積だって7%でしょ。んだけど、根室で漁師やってる人方、「いやいや、これだけの海域でも返ってきたら大したもんだ」と言う。ほんとにそう言い切れるか。 というのはね、もとのサケマスそうでしょう。ずっと広大な海域、ロシアに認められて、漁業やってたわけでしょう。その線を超えてね、2昼夜3昼夜超えてって、漁してきてるんだから。仲間いるもんだから、聞いてるのさ。おまえら、ほんとに守れるか。とにかく日本人っていうのは1,000もらったらいいだ、これあるから。だけども、はっきり決まったら、絶対行けないよ。だから、それには正当に話し合って、我慢してもらわなきゃ。今、だんだん、日本でも漁場が狭まり、大変な状態でしょ。 俺は、土地よりも、この海域が必要なんだ。今、日本で必要とする水産たんぱく資源のね、60から70輸入してる。して、国連が平和になろうって働きしてるときにね、今、日本が輸入してる水産たんぱく資源というのはね、入ってこなくなるよ。その分、補うということは無理だけども、何十%も補うためには、この広い海域を育てる漁場にすることだと。「そう言ったって、密漁や乱獲でとられるべ」って。そういう考え方がおかしいんだ。こういうふうに我々育てる漁業なんて、もう遅いんだ。子供ら、孫らにやらせる。そしたら、自分らで育てたものはね、乱獲、密漁するはずがないんだ。 それと、山から木1本切ったら、2本植える、3本植える、自然の保護も必要んなってくる。これらを教えていけば、この広い海域がね、有効に生きるんだ。今ある漁場にネット張るわけにいかない、今でさえひしめき合ってるわけだから。これを新たにできる漁場だから、ネットを張りやすいんだ。宮城県行ったときにね、この話したらね、大拍手もらった。やっぱりあそこも、もともと漁業で、根室へ来たのサケマス時代、サケマスやった人多いもんですから、理解できるんだよね。だけど、漁に関係のない者は理解できないから。だから、俺の願いはそういうことなのさ。 だから、ここはやっぱり高田屋嘉兵衛さんとゴローニンとの関係でもって、日本に戻してもいいわ、という話してかないと。今の国会議員でも、「北方領土は固有の領土だ」って、これ大概の者言うよね。固有の領土の根拠、知って言ってるのか。人が言うから、言うんだよ。 島の知識、持ってるっての、我々がもう限度だからね。若くなったらね、知識のない者、関心が薄れるよ。必要性っていうの薄れてく。