【証言・北方領土】国後島・元島民 池田英造さん(4)
メドベージェフ大統領の国後入り 腹の中、煮えくり返った
終わったらなし。こういう性格だから、本音言わないと伝わらない。だから、さっき言った語り部もそうさ。みんなかっこつけてね、本音言わないんだよ。メドベージェフ大統領が国後来たでしょ。あの後にインタビューやったのさ。「メドベージェフ大統領、国後来て、どういう感想だ」って聞かれたのね。当時の副理事長、鈴木さんっていう人と、漁師長い、いずみさんと俺と3人。指名受けたのさ。 そして、当日、インタビューやる前、札幌の本部ともつながっていたんだよね。リハーサル始まったのさ。して、リハーサル、どう思うってやっていった。2回やったの。じゃ、もう1回やろうっていうことで、それから、鈴木っていう副理事長に、「あんたたち中央行ったらね、問題なるんで、きょうは俺が、あんたたち言えねえことを言うからな」いう話したもんだから、3回目は俺、リハーサル、何しゃべったらいいかわかんなくなるって拒否したの。 して、その場で、自分の番来た。やっぱり我がふるさとにメドベージェフ大統領来たっていうことは、腹の中、煮えくり返った。だけども、考えてみたらね、元島民の返還運動は手ぬるいぞ。逆にアドバイスに来たような気する、と。たまたま、そのひと月ぐらい前に、北方担当大臣が納沙布へ来てるのさ。そして、返還運動一生懸命やりまして帰って、1カ月くらいでしょ。担当大臣の感想が先に入ったのさ。「元島民の心情を思うとき、まことに遺憾だ」って言った。これにくらいついた。「大臣たる者がね、元島民利用して、遺憾だって話あるか。北方領土返ってきて、元島民にくれるか。国のもんでないのか。遺憾とは何ごとだ」って。 ちょっと物足りなかったけど、それ言ったらね、北大の岩下教授が、俺、あの人大っ嫌いだったのさ、最初から2島論ばっかりやってたから。そのときに、岩下さんがね、「言うとおりだ」って。「大臣たる者がね、島民の感情をね、遺憾に思うって何ごとだ」って言ってくれた。それから岩下さんね、根室へ来ると、俺の汚いうちに来るつど寄ってくれるようなった。ばかって、自分で思ってんだけど、ばかでなきゃ言えねえことだ。だけど、本音なんだよね。みんなかっこつけて言わないのか、わからなくて言わないのか。俺から見ると、かっこつけで言わないなと思う。