人口減少、経済停滞が続く日本で、なぜコンビニ業界は健闘し続けられるのか
それは20世紀以降の高度産業社会の時期で、小売業では仕入れと販売の機能的分業が進展し、チェーンストア方式が定着した。量販店が主導するスーパー全盛の時代である。 モータリゼーションの進展と都市化とが相まって、スーパーが郊外に立地し、冷蔵庫との普及とともに、人々はまとめ買いをするようになった。小規模な店舗は近隣にあったが、買い忘れ、臨時の買い物先として、補助的存在であった。第三は、20世紀末以降のデジタル社会で、通販などの販売方式が普及する。 参考までに、それ以前を辿ると、後進国であった日本は、キャッチアップの発展経路を辿る。明治期に、百貨店の一時的発展はあるが、本格的な百貨店の発展は第二次世界大戦後の1950年代。 総合量販店がチェーンストアの経営組織革新を掲げて興隆するのは、1950年代末から1960年代のはじめ。メーカーとの協調的商品開発、日本独特のコンビニのマス・マーチャンダイジング・システムも、流通革新を伴って発展した。コンビニは、米国モデルを一部、模倣しつつも、大部分が独自に改良した事業展開であった。 以後、景気変動に影響されつつも、スーパーなどの量販店とコンビニの競争は続く。競争の結果、コンビニは躍進し、一方、百貨店の売上げは低迷する。20世紀末になると、欧米と時を同じくしてICT革新が生じ、eコマースが台頭、通販が進展する。なお、この段階にあっても、コンビニは戦略を生かし、健闘を見せる。なお、小売業の売上げの推移の比較、コンビニの店舗数推移は、下の図の通りである。 ■ コンビニの発展過程 コンビニの発展時期は、店舗数と利益動向、戦略の展開に区分して整理できる。店舗数は、89年までの漸増の傾向を経て、89年以降の右肩上がりの成長と99年以降の停滞成長を辿り、2009年以降のさらなる成長の過程段階に整理できる。 戦略の展開は、セブンイレブンが情報システム化に取り組む1976年を境に、それ以前の準備と試行期、それ以後の情報化戦略の進展とあいまった物流の進展期、2000年以降の飽和打開のための客層の転換とマーチャンダイジングと商品・サービス開発の展開期に整理できる。上の図はコンビニ大手3社の利益額の推移を示している。
塩見 英治