新しいトヨタ ヤリスは目に見えぬ進化が凄かった! “熟成”を実感したコンパクトハッチバクの完成度に迫る
一部改良を受けたトヨタのコンパクトハッチバック「ヤリス」の、ハイブリッドバージョンに今尾直樹が試乗した。熟成が進んだ走りに迫る! 【写真を見る】新しいヤリスの内外装を隅々までチェック(30枚)変更ポイントを確認!
足もとがよりしっかりしている
2020年2月に発売されたトヨタのコンパクトカー、ヤリスが、派生モデルの「ヤリスクロス」ともども本年1月に一部改良を受けている。その中身は、ホントに一部の改良に過ぎない。ヤリスだとグリルやシート表皮が変更されただけだし、機構面ではヤリスクロスも含めて、上級グレードのメーターが7.0インチの液晶カラーディスプレイになり、単眼カメラとミリ波レーダーを使った運転支援システム、「Toyota Safety Sense」のプリクラッシュセーフティの対象の範囲が広がっただけ。ハンドリングだとか乗り心地だとかブレーキだとか、ドライビングに関するメカニズムについてはなんの発表もなかった。 ところが、である。本年2月に登録された広報車のヤリスZ、ヤリスでいちばん高いハイブリッドのFFに乗ってみたら、とってもいい。クルマ全体が従来と較べキュッとしたような、それまでユルユルで、ほどけそうだったおにぎりを両手でやさしく固めたみたいな、体幹を鍛え直したような感じがした。もしやヨーロッパ車みたいに、明文化はされていないけれど、じつはブッシュ類の変更だとか、細かいチューニングが施されているのかもしれない……。 念のため、トヨタ広報のK氏にメールで問い合わせてみた。結論を申し上げると、上記以外、変更はない。ハイブリッドもいわゆる第4世代そのまま、ということだった。 考えてみたら、私はヤリスのハイブリッドに公道で乗ったことがなかった。GQで1.5リッターのガソリンのMTをテストした記憶はある。記事も書いた。発売のちょっと前に袖ヶ浦フォレストレースウェイで開かれたプロトタイプの試乗会に参加したこともある。とはいえ、全長2.4kmのサーキットを、1.5リッターのガソリンのCVTとMT、そしてハイブリッドのFFとE-Fourで、それぞれ3周しただけで、それ以来、縁がなかった。このとき、もっとも好印象だったのがハイブリッドのFFだった。 今回試乗したのはそのヤリスのハイブリッド、FFの最新モデルである。工場の生産現場はあれから4年の経験を積んでいる。だから、量産試作、あるいは量産初期のプロトタイプよりも、現場の4年分の“カイゼン”が詰め込まれ、熟成が進んでいることは想像に難くない。 さらに試乗車はメーカーオプションの16インチ、前後185/55サイズの扁平タイヤを装着している。プロトタイプ試乗会で乗ったハイブリッドのタイヤは185/60R15だったから、足もとがよりしっかりしている。という印象も一般論として成立する。