中学受験、合格後の進学先を子どもに最終決定させてもいい? 親の悩みに受験のプロが「本人が決めるべき」と考える理由
安浪:あるいはその逆ということもあり得ますよね。 矢萩:ご本人と会わなければわかりませんし、どこまで自覚的かはわかりませんが、「6:4」って言っているのですから、自分でも受験をしたい気持ちに気づいているってことだろうな、と思います。どちらにしても、僕はやっぱり本人が最終的に決定する、ということでいいと思うんです。もちろん、全部本人に丸投げするのではなくて、お母さんはこう思う、お父さんはこう思うけれど、いろんな人の意見を参考に最終的にあなたが決定してください、もし決定できないなら相談してください、みたいに助け舟を出してあげるといいのかなと思います。自分ひとりで決定できない、という判断もその子の決定ですから、そこは追い詰めずに、きちんと配慮してあげてほしいです。 ■正しい選択、とはそもそも何なのか おおた:僕も、基本は子どもが決めるべきだと思います。子どもは正しい選択ができるのか、という話もありますが、何かみんな「正しい選択」に呪われている感じがするんです。でも人生において、選択ってあまり意味がなくないですか。その選択を自分にとって正解にできるかどうかが大事ですよね。選択の良し悪しって選択した時点では決まってなくて、選択したあとの生き方が決めると思うんです。他人が選んだ道で不都合があったら、そのひとのせいにしたくなりますけど、自分が選んだ道なら、なんとかそれを正解にしようと思えますよね。 矢萩:そう。選択した内容が大事なのではなくて、本人が自由に選択できたかどうかが最も大事で、それが幸せになれるカギなんです。 おおた:判断力も情報量も不十分な子どもに選ばせたら「間違える」というひともいますけど、その「間違える」というのは、世間一般的な損得勘定に照らし合わせて合理的かどうかという基準でしかないですよね。他人から「なんでそんな選択をするの?」と言われても「私はこれがいいんだもん!」と言える人こそ、周りの価値観に振り回されない自由な人です。12月4日に発売される新刊『母たちの中学受験』(小学館)にもそういう話が出てきます。