【兵庫県知事に斎藤元彦氏再選】政治と報道のプロを完膚なきまでに打ち負かしたネット世論
■ LINEグループ「チームさいとう」の活動とNHK党・立花孝志の側面支援 選対とは別に、LINEグループ「チームさいとう」を運営するボランティアのチームがあった。そのリーダーの五条祐介(Xのアカウント名)によれば、失職3日目のJR垂水駅の駅立ちで出会った5、6人でDMグループを作った。斎藤の好きな高杉晋作にちなみ、「奇兵隊」と名付けたそのグループから、勝手連的な支援活動に発展していったのだという。 「私自身はやや右寄りの改革支持だけど特定の支持政党はなく、選挙によって維新や自民、時には立憲にも入れてきました。政治活動の経験もまったくないし、ボランティアもほとんどしたことがない。でも今回の文書問題では、斎藤さんを責めるためのデマがあちこちで飛び交っていた。真実がデマに邪魔されて見えなくなっていくことに危機感を感じたんです」 五条の言うデマとは、告発文書に書かれたり、百条委員会や報道で取り上げられたりしたパワハラや「おねだり」の疑惑を指す。明確な証拠がなく、関係者にも否定されているという主張だ。 斎藤の行動予定などを知らせるLINEグループの登録者数は、最終的に2900人まで増えた。そのうち街頭演説などの現場で協力するボランティアが約500人、ネット上でさまざまな発信をするデジタルボランティアが約400人に上ったという。SNSへの写真・動画投稿やハッシュタグの拡散は、全国にいるこのボランティアたちが担っていた。 もう一つ、支持者動員の大きな要因になったのが、斎藤を当選させるために出馬したというNHK党の立花孝志による発信だ。選挙制度を揺るがす、その脱法的行為に加え、YouTubeやXで文書問題に関するデマ含みの暴露情報、元県民局長の人格を貶めるような憶測、百条委の県議たちへの攻撃を流して耳目を集めた。斎藤の街宣終了後、居残った聴衆に向けて行う「ハイエナ街宣」(と本人が称していた)も人気を集め、多くの人たちがこれを「真実」と受け取っていた。 斎藤陣営は「(立花側と)一切連絡を取っていない」と言う。その真偽がどちらにせよ、斎藤と立花の街宣をセットで聞きに来る聴衆は数多くいた。