「姉妹を世界の人に知ってもらいたい」 岩井千怜が米女子ツアーに挑戦する理由
<樋口久子 三菱電機レディス 最終日◇27日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6650ヤード・パー72> 姉の明愛は直ドラ2オンに成功し、この“ドヤあおり”ポーズ【写真】 単独首位でスタートした地元・埼玉県出身の岩井千怜は6バーディ・2ボギーの「68」でプレーした。トータル16アンダーまでスコアを伸ばし、トーナメントレコードで今季3勝目(通算7勝目)を挙げた。最終18番でウイニングパットを沈めると、「1番はホッとしました。決まった瞬間にやっと終わったと」。安どの表情を浮かべた。 1打リードで最終日を迎えると、1番パー5でバーディ発進。前半は3バーディ・1ボギーと伸ばした。キーポイントと振り返るのは、8番パー3でのパー。ティショットを左のラフに外したが、2打目を58度ウェッジでロブショットすると、2メートルほど残ったパーパットをしっかりと沈めた。「パーセーブができて、『よしっ』っていう感じでしたね。大事な場面だったと思います」。ピンチも冷静に対応した。 後半も危なげないゴルフを展開するなか、双子の姉・明愛が上がり3ホールで3連続バーディを奪い、猛追してきた。「明愛の追い上げは分からなかったです。17番を終えてリーダーボードを確認した。お互いに地元愛というか、みんなのために頑張るという気持ちは通じ合ってるのじゃないかと思います」。 最終18番パー5では4.5メートルのウイニングパットを決めると、両手をあげて観客を“あおる”ポーズを披露した。実は明愛も、同じ18番の2打目に直ドラを成功したときに、同じポーズをしていた。「え? 本当ですか? そこまで一緒になるとは思ってなかったです…」。双子で大会を盛り上げた。 12月には、明愛とともに米国女子ツアーの来季出場権をかけた最終予選会「Qシリーズ」(12月5~9日)に挑戦する。今季序盤には挑戦の意欲はなかったようだが、「全米女子オープン」や「AIG女子オープン」(全英)など海外メジャーを経験するうちに、米ツアーへの思いが募り始めた。「海外で戦っている選手がかっこいいなとは思いました。(岩井姉妹を)世界の人たちに知ってもらいたい」。 そして次週は、日米共催大会の「TOTOジャパンクラシック」(滋賀県・瀬田ゴルフコース 北コース)に出場する。この試合で優勝することができれば、最終予選会に出場せず、“一足早く”ツアーメンバー入りすることができる。昨年は「東京五輪」銀メダリストの稲見萌寧が優勝し、メンバー入りを果たした。 「予選会を受けず、勝って米ツアーに行くのが1番の夢でもあり、目標です。来週も絶対に優勝を目指して頑張りたい」。世界にその存在を知らしめる、千載一遇の機会を逃す手はない。(文・神吉孝昌)