TOPPAN、次世代半導体開発を加速する…「重要部材を世界に供給する責務を果たす」
TOPPAN(東京都文京区、斉藤昌典社長)が、生成人工知能(AI)需要を追い風に次世代半導体パッケージの技術開発を加速する。4月に新設した次世代半導体パッケージ開発センター(埼玉県杉戸町)で研究開発し、石川工場(石川県能美市)で2027年度中にパイロットラインの立ち上げと技術検証、28年度に量産を始める予定。有機再配線層(RDL)やチップと基板を接続するガラス製インターポーザーなどの生産を想定する。(熊川京花) 【初心者向け】知っておいて損はない、半導体の基礎知識 4日、石川工場で開所式を開いたTOPPANの植木哲朗専務執行役員は「常に変化する技術に追随することが半導体事業を継続する絶対条件。研究施設や量産場所を確保できた。重要部材を世界に供給する責務を果たす」と話した。 石川工場は、経営破綻した有機ELディスプレーメーカーのJOLED(ジェイオーレッド)から土地と建物を取得して開設。敷地面積は約9万9612平方メートル、建屋面積は約10万683平方メートル。三つの製造棟があり、クラス10万レベルのクリーンルームのフロアを備えている。 半導体パッケージ基板の「FC―BGA」は、データセンター(DC)のサーバー向けや生成AI向けに伸長が期待される。TOPPANは新潟工場(新潟県新発田市)に量産拠点を持つほか、シンガポール工場を26年末に稼働予定。 生成AIの学習や推論には高度な演算処理が必要になる。これを実現するFC―BGAのさらなる高速伝送や、機能の異なる複数のチップを一つの基板に集積する「チップレット」に対応するガラスコアやガラス製のインターポーザー、有機再配線層(RDL)などの次世代技術の開発・量産体制の整備を加速させる。 石川工場では、約100億円を投じて海外向けで好調な大型テレビ向け反射防止フィルムの量産も26年度中に始める予定。従業員は70人を想定する。能美市の井出敏朗市長は「次世代に挑戦する企業の進出は多様な好影響がある。市民にとっては雇用が拡大する」と歓迎した。