鴻海精密工業 シャープ 共同会見(全文1)シャープ・高橋社長のあいさつ
企業の丸ごと買収による経営再建策を協議してきたシャープと台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が2日午後、大阪府堺市内にある合弁工場で記者会見を開き、鴻海がシャープに3888億円を出資して買収することで合意したと発表、調印した。 【生中継録画】鴻海精密工業、シャープによる共同会見
高橋社長のあいさつ
続きまして、両社からごあいさつをさせていただきます。初めにシャープ社長、高橋からごあいさつを申し上げます。高橋社長、お願いいたします。 高橋:シャープの高橋でございます。平素は当社の広報ならびにIR活動にご協力いただきまして、誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。 当社は鴻海精密工業との新たな戦略的提携を推進する一環としまして、本日契約を締結いたしました。ここに至るまでに多大なご協力をいただきました、テリー会長および鴻海の関係者の皆さまには心から御礼を申し上げます。 当社は昨年5月に掲げました中期経営計画を確実に遂行してまいりましたが、液晶事業の市場環境の悪化などにより、現下の経営状況は厳しさを増し、経営再建に向けてアライアンスを含め、抜本的な構造改革の検討を進めてまいりました。その結果、当社は電子機器受託製造サービス、EMSの世界最大手であり、また幅広いIoT製品の開発や生産に積極的に取り組んでいる鴻海からの資本提携とともに、広範な戦略パートナーシップを含む提案を受け入れることを決定いたしました。 この合意は当社の事業拡大に寄与するとともに財務体質の改善にも貢献し、ひいては堺ディスプレイプロダクトですでに提携、協業に成功している両社に、さらに大きなシナジーの創出が見込まれます。本戦略的提携により鴻海が保有する世界最大の生産能力、またグローバルな顧客基盤とともに、両社の革新的で実績のある技術開発力の融合を図ります。
国内外の企業と連携 新しい価値を提供し続ける企業をめざす
当社は1912年の創業以来、「創意の遺伝子」を先進的な製品という形にして世の中に示してまいりました。創業者の早川徳次が掲げた、人にまねされる商品をつくれ、の精神をもとに国産初の鉱石ラジオや世界初の液晶表示電卓など、生活を変える、イノベーションの実績を積み重ねてきました。当社の強みは革新的な技術開発力です。その力は世界最高水準の液晶技術、小型カメラモジュールが世界トップシェアであること、そして現在開発中の幅広い商品群にも表れています。当社独自の「目の付けどころ」も強みとなっています。 鴻海精密工業は1974年に創業されました。創業者であり会長でもあるテリー・ゴウさんは、IT産業の最も競争の激しい分野において世界的な成功実績を積み上げてきた企業家です。世界最大のEMSであり、一流の技術設計開発会社でもある鴻海を一代で築き上げたテリー・ゴウさんは、まさに興隆するアジアの勢いとスピード感そのものといえます。 鴻海の強みは技術トレンドと市場ニーズを十分に捉え、世界トップクラスの顧客による高品質、かつ洗練された商品の世界市場展開を支援できることです。こうした両社の強みを融合させ、シャープ、鴻海による戦略的アライアンスを結成してまいります。当社は鴻海からの支援を得て財務体質の改善を図るとともに、近年、直面してきた財務的課題により抑制せざるを得なかった、新たな成長に向けた投資を行ってまいります。 近い将来、世界中の多くのものがクラウドにますますつながり、例えば日常生活では知能を持ったインテリジェントな家電が自動的に動くようになります。これらの家電に搭載されたさまざまなセンサーから得たビッグデータにより、家電は世界中の顧客の日常的なニーズを満たすことができるようになります。このようなスマートな製品に移行していく中で、両社が目指すものはIoTとロボティックス製品の開発と製造によって、顧客により良い生活をもたらし、広く世界の文化と福祉の向上に貢献することです。 さらに鴻海と共につくり上げる新たな戦略的提携とそれによる新しいシナジーにより、販売量の拡大、新たなサプライチェーンや製造能力の活用など、グローバルな競争力が強化されていきます。鴻海と戦略的提携を進めていく中で、今後もシャープのブランドを維持し、世界中の顧客に向けて引き続き新しい価値を提供し続けてまいります。また、従業員の雇用を原則として維持し、従業員にとって将来のチャンスを広げるとともに、シャープの企業としての一体性も存続してまいります。 当社は鴻海と共に引き続き日本および世界のさまざまな企業と連携して、共同研究開発などを積極的に進め、技術革新を加速するとともに、電器産業の発展により一層貢献してまいります。新たなシャープ・鴻海連合を結成する中で、お互いの企業文化を尊重し、認め合うとともに協力して、両社が持つ創意の遺伝子とベンチャースピリット、起業家精神の融合を図り、アジア発の新しいプロダクトイノベーション、開発、製造の姿を示していきたいと思います。 そしてこの新しい戦略的アライアンスによってシャープ自らが脱皮し、これから10年、100年にわたって世の中になくてはならない会社であるために、新しい価値を提供し続ける企業をめざしてまいります。われわれはさらに前進してまいります。今後とも皆さまのご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 以上、私からのご説明とさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。