考察『光る君へ』8話「一緒に行くか?」 「…行っちゃおうかな」遂に捕縛された直秀(毎熊克哉)の運命は?
兼家と安倍晴明の策謀
道兼を花山帝に繋いでしまう為時。 倒れたのは本当だとしても、兼家は早い段階で回復していたのか。そしてこれをチャンスとし、花山帝のすぐ傍に道兼を送り込む作戦を立てたのか……それとも、最初から倒れることそのものが芝居だったのか。敢えて弱ったように見せて油断させ、反転攻勢に出るのは兵法の常道である。 いずれにせよ、為時は、道兼が花山帝に辿り着くための蔓にすぎない。 この企みは一体どこから始まっていて、策謀に加担しているのは誰だ。 第7話で為時から「自分を信じる帝をこれ以上騙すのは心苦しい」と相談を受けたときに兼家は、もう間者としては役に立たぬが、そうか。この男はそれほど帝に信頼されているのか。これは使えるな…と思っていたのではないか。宣孝(佐々木蔵之介)が言う「右大臣様が一度掴んだものを簡単に手放すとは思えぬ」とは、まさにこういったことを指しているのだろう。 そして、道兼は勿論だが、兼家と二人きりになった人物は右大臣家の兄弟妹以外にもう一人いる。 「瘴気が酷い」と人払いした、安倍晴明……。このとき、兼家と謀について話したのではあるまいか。晴明は、右大臣に忯子の霊が憑いて兼家が弱っていると花山帝に報告した。自分に疑いがかかるのはまずいから、呪詛については「わかりません」と言った。その作為的な物言いが、花山帝と義懐らを油断させる作戦の片棒を担いでいるのではという疑惑を深める。
捕縛された直秀
ついに捕まった盗賊団。都を離れる前に、今をときめく、そして散楽でさんざんネタにした右大臣家に盗みに入ろうと仲間内で決めたのか。 直秀、自分ひとりなら逃げられたかもしれないのに、捕まった仲間のために取って返して……どこまでもカッコいい男である。 覆面を取られた直秀を前にした道長。 道長も自分ひとりなら見過ごせたろうが、武者たちが一味もろとも捕らえたとなると、解き放てとは言えぬ。そして道長は矢傷の指摘による牽制は通じていると思ったのだろうに、直秀は東三条邸に盗みに入り、そして捕縛された。 道長はこれで友を失う。やり場のない感情が表面に噴き出し、凄まじい表情となっていた。あんな顔が演技でできるのだな……さすが柄本佑だ。
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