なぜ、職場での他人のフォローは疲れるのか? 潰れる前に“心の状態を知る3つのテスト”
「自分の心の状態」を確認することから始めよう
自分の内面から「他人のフォロー」のしんどさに対抗するためには、次の2つのことに取り組むことが必要です。 ①自分を客観視し、心の状態を把握すること ②心を癒す技術を知り、正しくケアすること この2つを繰り返し実践するだけで、日々の困難にも折れないしなやかな自分を育てることができるはず。まずは①の、自分の心の状態を知るためのチェック方法からお伝えします。 最初に、基本的なテストで心の状態を探りましょう。自分の中に「心のエネルギータンク」があり、満タンで「10」のエネルギーが入るなら、今のエネルギー量はどのくらいでしょう。直感で答えてみてください。数値に対応する心の状態の目安は、上の図に示しておきました。 これは、何か学術的根拠のあるテストではありません。ですが、自分の心の元気度を数値化することは、自分の状態を知るうえで大変重要なこと。大切なのは、これを日々継続することです。心の疲れは、身体のそれと違ってなかなか自覚できません。数値化する習慣をつけて初めて、日々の変化を知ることができるようになるのです。 そうすることでようやく「今日はいつもと比べて心の調子がが微妙だな。昨日の残業のせいかもしれないし、今日は無理してでも定時退社で」などと、原因とその改善策まで考えられるようになります。行動の改善につながるこの「気づき」を得ることこそ、このテストの最大の意義だと言えるでしょう。 なお、心のエネルギー量は時間にも左右されますので、これを自分に問いかける時間は、毎日だいたい同じにするのがお勧めです。 このテストを基本にしつつ、疲れが続くようなら上図で紹介している「応用編①②」にも取り組んで、自分の状態をより詳しく把握しましょう。心が疲弊しきってしまう前に立ち止まれるよう、役立ててください。
「まだ大丈夫」なうちに自分のために時間を使う
テストを通じて自分の状態を客観視できたら、次は「自分の心をケアする技法」を知り、活用する段です。 職場で細かく他人をフォローできるほど面倒見のいい人は、つい「やるべきことを、ここまでは全部終わらせないと」と考えて、いったん自分に課した完成度ややり方を変えないのですが、人間のエネルギーは有限です。まだ大丈夫と思っているうちに、突然「もう無理」の状態になってしまいます。比喩ではなく、うつ状態は本当にある日突然やってくるものなのです。 身体に強制ストップをかけられてしまう前に、ぜひしっかり時間を使って心をケアし、エネルギーを補充しましょう。 そのための具体的な方法は全部で9つ。こちらも上の図にまとめましたので、詳しくはそちらを参照してください。 まずはレベル1から焦らず順番に取り組むのがいいでしょう。少なくとも「十分な睡眠時間を確保すること」には、ぜひ手をつけていただけたらと思います。 そうしてある程度気持ちの余裕が生まれてきたら、図の一番下にある「認知行動療法的ストレス対処法」にも、ぜひチャレンジしてみましょう。 メールやチャットが社会に浸透し、仕事中は息つく間もなく「やること」に追われる時代になりました。そんな中で「本当に大切なこと」を見失わないためにも、常に自分の心の状態を把握し、ケアすることが欠かせないのではないかと思います。
佐藤恵美(メンタルサポート&コンサル沖縄代表)