DeNA・東克樹が今季チーム初完封 球団新の開幕投手5連勝で斉藤明夫超え「球団の歴史に名を刻めてよかった」
DeNA・東克樹投手(28)が15日、「日本生命セ・パ交流戦」の西武2回戦(ベルーナ)で9回7安打無失点と好投。今季チーム初完封を果たし、球団の開幕投手では1989年の斉藤明夫を抜いて最多となる開幕から5連勝を飾った。昨季から続くクオリティースタート(先発で6回以上、自責点3以下)を22試合に伸ばし、4-0の快勝に貢献。チームは今季最長の連勝を6に伸ばし、勝率5割に復帰して3位に浮上した。 八回を投げ終え、三浦監督から続投の意思を問われた東は、迷わず答えた。「行かせてください」。この時点で球数は106。それでも、マウンドを譲る気はなかった。右翼席から響く「東コール」を背に九回のマウンドに立ち、スコアボードに9つ目のゼロを刻んだ。 開幕投手では1989年の斉藤明夫を抜き、球団記録となる開幕5連勝。「査定の方に言っておきます」とジョークを飛ばし「球団の歴史に名を刻めてよかった」と笑みを浮かべた。 序盤は球がばらつき、先頭に四球を許した二回は2死一、三塁のピンチを切り抜けた。転機は六回。ベンチ前で行う直前のキャッチボールでリリース時の左肘の位置が高くなっていることに気づき、「サイドスローぐらいの気持ちで投げた」。柔軟な対応力でフォームを修正し、直球の球威と変化球の切れを取り戻した。 五回以降は二塁を踏ませず、116球を投げ切った最後まで球威は落ちなかった。昨季16勝で最多勝に輝いた左腕は、昨年8月から22試合連続でクオリティースタートを記録。バッテリーを組んだ山本が「粘りながら投げていこうと話していた。エースらしいピッチングだった」とたたえれば、三浦監督は「後半は危なげなかった。ナイス完封」と称賛した。 開幕から同一カード3連戦の初戦でナイターとなる金曜日の登板を担ってきたが、前回8日からデーゲームの土曜日の先発を託された。夜型の生活リズムを変える調整は一筋縄ではいかず、先週に続いて前夜も寝つきは悪かった。さらにこの日は最高気温30・6度の真夏日と暑さも立ちはだかったが、イニングを投げ終えるごとにアンダーシャツを着替え、何とか乗り切った。 チームを2年連続の交流戦勝ち越しに導き、6連勝での3位浮上の立役者となった。「優勝を目指して一戦一戦、戦っていく」。その雄姿と言葉に、大黒柱の矜持(きょうじ)がにじんだ。(鈴木智紘)