大阪桐蔭の監督・西谷浩一らと「話し合いをすべきだと思う」高校野球で“ある変化”…花咲徳栄の名将・岩井隆が語る「野球が絶対の時代ではない」
高校野球の強豪、花咲徳栄(埼玉)。同校を率いる名将・岩井隆にズバリ問う「昔の高校野球は否定されたのか?」。【全2回の2回目】 【記事写真】「えっ、あのプロ野球選手も花咲徳栄だった…」「坊主が甲子園にひとりも…いない 衝撃の1枚」ヤンチャそうな森友哉、中田翔、根尾昂…大阪桐蔭OB選手と合わせて一気に見る ◆◆◆ 甲子園強豪校の監督に「華の同期世代」がいる。 1969~70年生まれの55歳を迎える指導者たちだ。
岩井隆、西谷浩一、門馬敬治…名将ズラリの世代
花咲徳栄の岩井隆を始め、2度の春夏連覇を達成した大阪桐蔭の西谷浩一、東海大相模時代に4度の全国制覇の経験がある創志学園の門馬敬治、清峰と山梨学院で春2度の優勝がある吉田洸二らがそれにあたる。 今年春の選抜では西谷、門馬、吉田が集結。全国制覇未経験では京都外大西の上羽功晃、元プロの島田直也(常総学院)が出場し、同世代による直接対決も見られた。 「岡山の人はガチガチに勝ちに行っているし、大阪の人はチーム力ばっかりで個性は考えない人。山梨の人は誤魔化しながら勝つことばかり目指している」 岩井はライバルたちのことを冗談っぽく語るが、この年齢になって指導者としての立ち位置の変化を感じている。自身が30代の頃、同じ埼玉の浦和学院・森士や聖望学園・岡本幹成、春日部共栄・本多利治に立ち向かったように、今は目指される立場。最近台頭した、山村学園や昌平からの挑戦も受けるようになった。 「先輩方は『勝たないといけない』という高校野球をやっていた。全国で言えば高嶋仁(智弁和歌山など)さん、馬淵史郎(明徳義塾)さんもそうでしたし、上甲正典(故人、済美など)さんなど、勝たないといけないと考えられていた時代から、少しシフトしてきているとは感じるんですよね。勝つだけじゃなくて今の時代にあった高校野球を作りながら、なおかつ、勝てばいい。そういう方向に行くのが必要かもしれない」
「慶応の選手はでき上がってる。うちはそうじゃない」
岩井が今も大事にしているのは「型」の重要性だ。それがあって「自立」がある。型を覚えたうえで、自分で考えるようになった時に「個性」が生まれ、強いチームになっていくという。もっともそれは「個性」が前面にくるようなチームを否定しているわけではなく、どこにプライオリティを置いているかの違いだ。 「いろんなチームと試合をしてきましたけど、慶応の選手は、でき上がっているんです。挨拶はしっかりさわやかにするし、大人と会話ができるし、言葉遣いも間違えない。昨夏の決勝でホームランを打った丸田(湊斗)くんは早めにグラウンドに出て準備もするし、アップが足りなかったら、他の子と離れてやっている。スローイングが気になれば聞きにも来る。彼らはそういうのができる子たちなんです。でも、うちはそうじゃない、そこまで成長してない子たちを預かっているので、まず型を教えるのに時間がかかる」 厳しい指導が許されなくなった昨今、選手の育成にかかる時間は増えたという。
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