株価高値の「辰巳天井」期待も… トランプリスクと好循環の実現可能性に要注意
6日の日経平均株価は大幅続落し、投資家の正月気分を一掃した。証券界は干支にちなんで、昨年から今年にかけて株価が高値をつける「辰巳天井」の相場を期待する。だが、先行きを展望すると、今年も国内外のさまざまなリスクに身構える必要がありそうだ。中でもトランプ米大統領の再登板、日本経済の好循環の実現可能性という2つの材料には要注意だ。 証券各社は年末にかけて株価が上昇するシナリオを描く。野村証券は年後半のどこかで4万3750円の高値を見込む。大和証券は年末に4万5千円、SMBC日興証券は4万5500円の高値を予想する。 ■先行きに不透明感 証券界では、今年の干支の蛇に「再生」や「成長」の願いを託す。戦後の巳年の相場を振り返ると、日経平均が上昇した年は4回、下落した年は2回だった。 昨年は7月に4万2224円02銭の史上最高値をつけたものの、8月には大暴落をするなど激動の1年となった。今年も最高値更新に期待がかかるが、先行きは不透明感に覆われている。 最大の波乱要因が「トランプリスク」だ。トランプ氏は関税の引き上げや大規模減税などの政策を打ち出している。これにより、米国内でインフレが再加速すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が利下げから利上げに転じ、米国経済や株式市場の逆風となる恐れがある。一方、トランプ氏は米国製造業を守る立場から、ドル高につながる利上げには否定的な立場を取る。 大和証券グループ本社の荻野明彦社長は6日、記者団の取材に応じ、トランプ次期政権について「現実の政策としてどういう落とし方をしてくるのかが注目点だ」と警戒感を示した。 ■利上げ急げば経済停滞も 国内に目を向けると、物価上昇を賃金上昇が上回る経済の好循環の実現が近づく。25年春闘は賃上げの定着や広がりがテーマとなる。設備投資や個人消費が活発になれば、企業業績の拡大も期待できる。 景気回復が鮮明になれば日銀の金融政策の正常化を後押しすることになる。ただ、利上げをあまり急げば、企業や家計の金利負担が増し、経済活動を停滞させかねず、そのさじ加減には注意が必要だ。 「国民一人一人が所得や賃金の増加を実感できるよう、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとするための取り組みを進めていく」。6日の大発会で、加藤勝信金融担当相は言葉に力を込めた。(米沢文)