ラーメン業界“閉店ラッシュ”の中で店舗を増やし続ける「丸源ラーメン」。圧倒的な成長を可能にした強みとは
今後は追加注文を促し、単価を上げる政策も
物語コーポレーションのラーメン部門は、中核である丸源ラーメンを中心にして、市場ごとに異なるブランドを展開して市場の棲み分けをし、本格的にラーメン事業を展開する体制は整備されている。各店舗の運営状態は、売上構成比は昼65%、夜35%くらいで、やはりラーメンだけに昼の需要が高いようだ。 しかし、丸源ラーメンは餃子や唐揚げなどの一品料理も充実しており、夜の時間帯に飲み客を誘致し、締めのラーメンを提供できれば、この構成比を変えることも可能だろう。現在、駅前立地への出店にチャレンジしているようだが、これを成功させるために、限りあるキャパシティを有効活用しなければならない。 客席回転率の向上が望める時間帯は別として、お客さんの滞留時間を延ばし追加点数を増やして客単価を上げるのも必要だ。ラーメンだけでなく、ちょい飲みセットを用意し、ビール、唐揚げ、餃子、逸品メニューなどの追加注文を促し、単価を上げられるような店舗政策が求められる。効果と効率の対立軸を考慮しながら、顧客満足に向けた政策が必要だろう。
今後のラーメン市場から目が離せない!
出店したい業態としても人気のラーメン店。新規参入が他業態に比べ初期投資額が低く、参入障壁が低い半面、商圏内での同業店舗の乱立で同業者競争が激しく、また、他業態店との競争も加わり、限られたパイの奪い合いが激しく、レッドオーシャン化が進んでいる。 しかし、外食産業はゼンショー、マクドナルド、すかいらーくの上位3社で70%を占める寡占化状態の一方で、ラーメン業界は上位3社(餃子の王将、日高屋、幸楽苑)で占有率は8%しかなく混戦状態である。現在、店舗数9位の丸源ラーメンもこの勢いをさらに強化すれば、上位3社内に入れる営業基盤は有している。 コロナが収束し、人流が復活し、インバウンド効果で外国人旅行者も増えてきている中、日本のラーメンは外国人旅行者にも人気で需要は伸びている。そのチャンスを収益に繋げてさらなる成長を期待したい。 <TEXT/中村清志> 【中村清志】 飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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