【40代、50代・更年期対策 】HRT(ホルモン補充療法)の種類や投与法、1か月の薬代の目安まで解説
ホットフラッシュなどの更年期不調に対して、HRT(ホルモン補充療法)で対処する人も増えてきたようだ。やってみたい気持ちはあるけれど、そもそもHRTにはどんな種類があって、どんな形態をしているの? また費用はどのぐらい? まずはHRTの概要を知って、安心してクリニックへ。産婦人科医の小川真里子さんに詳しく解説してもらった。
Q. HRT(ホルモン補充療法)ってそもそもどんな薬剤を使うの?
A. 飲み薬・貼り薬・塗り薬などがあります 「HRTの投薬方法はおもに4種類あり、子宮がある人と摘出してしまった人、年齢や月経の有無などを考慮して、その人に合った方法が選ばれます。 エストロゲンは子宮内膜を厚くする作用があるため、子宮体がんの発症リスクがあるとして、エストロゲン製剤に加えて、黄体ホルモン製剤を併用して投与するのが一般的です。特に最近は天然型の黄体ホルモンが保険適用になり、安全性も格段にアップしています」(小川先生)。 投与方法は大きく3パターン。 ①閉経前~閉経後早期はエストロゲン製剤と黄体ホルモンを周期的に使う。これは②③のようにさらに2パターンあり、どの使い方も効果は同じだ。 ②閉経後時間が経過している場合はエストロゲン製剤と黄体ホルモンを持続的に使う。 ③子宮を摘出している場合はエストロゲン製剤だけを使う。 また製剤の形態も、飲み薬(錠剤)、貼り薬(パッチ剤)、塗り薬(ジェル剤)が選択できる。飲み薬はなじみがあることがメリットだろう。一方、肝臓に負担がかかることがデメリット。貼り薬や塗り薬は肝臓負担はないのだが、肌の弱い人はかぶれることが。塗り薬は1回の用量がわかりにくいという声もある。 HRT(ホルモン補充療法)の費用は、更年期症状の治療なら保険適用で1カ月の薬代は¥1,000~3,000が目安だ。
【HRTの投与方法】 ◆エストロゲン剤 《飲み薬(錠剤)》 ●プレマリン(総合型エストロゲン):0.625㎎/1日1錠(通常量) ●ジュリナ(エストラジオール):0.5㎎/1日1錠(低用量)、1.0㎎/1日2錠(通常量) 《貼り薬(パッチ剤)》 ●エストラーナテープ(エストラジオール):0.72㎎/1回1枚、2日に1枚貼付(通常量) 《塗り薬(ジェル剤)》 ●ル・エストロジェル(エストラジオール):0.54㎎/1日1プッシュ(低用量)、1.08㎎/1日2プッシュ(通常量) ●ディビゲル1㎎(エストラジオール):1㎎/1日1包(通常量) ◆プロゲステロン剤(黄体ホルモン剤) 《飲み薬》 ●プロベラ、プロゲストン(酢酸メドロキシプロゲステロン):2.5㎎/1日1錠(持続的併用時) 5~10㎎/1回1錠1日2回(周期的併用時) ●デュファストン(ジドロゲステロン):5㎎/1日1錠(持続的併用時)、10㎎/1回1錠1日2回(周期的併用時) 《子宮内に器具を挿入》 ●ミレーナ(レボノルゲストレル):5年間有効 ※保険適用外 >> 天然型のプロゲステロン製剤が保険適用に! 卵巣で作られるものと同じ成分の天然型プロゲステロン製剤は乳がんなどのリスクはより低いといわれている。 ●エフメノカプセル100㎎/周期的使用は15日~28日で200㎎を1日1回。持続使用は100㎎を1日1回 ◆エストロゲン・黄体ホルモン配合剤 《飲み薬》 ●ウェールナラ配合剤:エストラジオール1.0㎎+レボノルゲストレル0.04㎎/1日1錠(通常量) ※閉経後の骨粗しょう症にのみ保険適用 《貼り薬》 ●メノエイドコンビパッチ:エストラジオール0.62㎎+酢酸ノルエチステロン2.70㎎/1日1枚(週2回貼付・通常量) 次回は更年期の気分の落ち込みを改善させる3つの方法を教えてもらう。 【教えてくれたのは】 小川真里子さん 産婦人科医、医学博士。東京歯科大学市川総合病院産婦人科 准教授。日本産科婦人科学会・日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医。専門は更年期医療学、女性心理医学、女性ヘルスケア。相談やカウンセリングを中心としたケアサポートとともに、最新のテクロノジーや視点を取り入れて、更年期を取り巻く環境や文化を積極的にアップデート イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子