人工呼吸器を付けほぼ寝たきり…「脊髄性筋萎縮症」25歳男性が始めた「ひとり暮らし」 病気があっても「生きたいように生きる」挑戦
欲しいのは支援者よりも「一緒に歩いてくれる仲間」
実はウッディさん、昔から障害者より健常者の友人・知人と多く関わってきたため、自分に病気があるという事実をあまり気にしていない。豊かな人生を追い求める中では、一緒に歩いてくれる人がいてくれることの嬉しさを痛感してきた。 「僕は自分の病気に対する理解は、あまり重視していません。周囲から来てくれるのを待つのではなく、自分からできること・できないことを伝えることが大事だと思っているので。それよりも、自分がやりたいことを一緒に楽しんでくれる人が増えたら嬉しいです」 「支援」だと、支える側が何歩か前に進む必要があるが、失敗すら一緒に経験できる横並びの仲間が欲しい。それがウッディさんの願いだ。 「障害者だって、自分の人生に対する責任はある。誰かと一緒に失敗しても、自分が決めたことなら、それでいいと思う。やりたいと本気で思った時、一緒に歩いてくれる人がどれだけいるかに、人生の充実度は左右されるんじゃないかなと思います」 そう語るウッディさんはやりたいことを思い浮かべると条件反射で諦めがついてきていた、かつての自分を振り返りつつ、同じ病気と生きる仲間やその家族に対し、力強いメッセージを贈る。 「ちょっとでも変わりたいと思うのなら、色んな人と出会ってほしい。自分のことを分かってくれる相手だけじゃなくて、自分のことを知らない人との繋がりも持ってほしい。そうすれば、できそうに思えることが増えたり、考え方が変わったりすることもあるから。色々な人との繋がりを持っておくと、人生が変わるきっかけが多くなると思います」 そのアドバイスは、ウッディさん自身の経験から得たもの。実はウッディさんが自分の持つ可能性の大きさに気づけたのは高校の時、色々なことに挑戦させてくれた先生との出会いがあったからだ。 「お前は勉強より人前に出るほうを頑張れと、ガツガツ引っ張ってくれました(笑)先生は客観的に見て、できるかもしれないと思えたから任せてくれた。自分ではできないと思っていることも周囲から見れば、違う見え方になる可能性があることを知りました」 自分であることを漫喫するウッディさんの挑戦は同じ病気を持つ人の背中を押しそうだが、本人は、そこに重点を置いてはいない。 「もちろん、誰かのためになるのはいいことだけれど、自分がやりたいことや正しいと思ってやってきたことを、たまたま誰かが見ていて役に立つくらいでいいかなと思っています」 誰かのための人生ではなく、自分がより笑顔になれる道を探求しつづけるウッディさん。人の心動かす彼の挑戦は、まだまだ続いていく。 (まいどなニュース特約・古川 諭香)
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