特別展『はにわ』東京国立博物館で 国宝《埴輪 挂甲の武人》と4体の“兄弟”が史上初めて一堂に
古墳時代の埴輪(はにわ)のなかでも最高傑作と言われる《埴輪 挂甲(けいこう)の武人》が国宝に指定されてから50周年を迎えることを記念して、全国各地から約120件の選りすぐりの至宝を集結した展覧会が、10月16日(水)から12月8日(日)まで、上野の東京国立博物館で開催される。 埴輪とは、王の墓である古墳に立て並べられた素焼きの造形のこと。3世紀半ばに始まった古墳時代の約350年間に、時代や地域ごとにつくられた埴輪はいずれも個性豊かで、王をとりまく人々や当時の生活の様子を今に伝えてくれる。なかでも、今回中心となる国宝《埴輪 挂甲の武人》は、甲(よろい)をつけた勇壮な姿や気高い表情が埴輪の造形美の極地とされている。 実はこの国宝の埴輪には、同一の工房で製作されたと考えられる兄弟のようによく似た埴輪が4体存在し、国内外の博物館・美術館に別々に所蔵されている。今回の展覧会の大きな見どころは、この計5体の《埴輪 挂甲の武人》が史上初めて一堂に並ぶこと。なかでもアメリカのシアトル美術館が収蔵する作品が里帰りするのは、約60年ぶりとなる。 この国宝の埴輪は、近年の解体修理時の調査分析によって、その表面の全体が白、赤、灰色の3色で塗り分けられていたことが判明したという。今回は、実物大で彩色復元を行った像の展示によって、製作当時の姿を目にすることもできる。また同展では、館を代表する所蔵品のひとつであり、埴輪の簡略化された造形がもつ独特の「ゆるさ」を象徴する作品でもある《埴輪 踊る人々》が、2022年からの解体修理を終えて初のお披露目となっている。 もうひとつの見どころは、《埴輪 挂甲の武人》を含め、古墳時代の国宝18点が集結すること。古墳時代の王の役割には変遷があり、副葬品にも移り変わりが見られるというが、その古墳時代がどのようなものであったかを概説する第1章は、国宝のみで構成された贅沢な展示となる。 今回出品される埴輪は、東北から九州まで約50箇所の所蔵・保管先から集められたものだ。東京国立博物館でこれほどの大規模な埴輪展が開催されるのは、約半世紀ぶりのこと。素朴な人物像や愛らしい動物像、精巧な家具や家、物語が感じられる埴輪群像など、様々な埴輪の魅力をこの機会にたっぷりと味わいたい。 <開催概要> 挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展『はにわ』 会期:2024年10月16日(水)~12月8日(日) 会場:東京国立博物館 平成館