介護職歴18年の女優・北原佐和子「41歳で資格を取得。介護事業所に応募するも30か所ほど断られて…」
厚生労働省が実施した「令和4年 介護サービス施設・事業所調査」によると、介護に従事する職員数は年々増加しており、令和4年度は215.4万人だったそうです。そのようななか「女優の仕事と介護の仕事は似ている」と話すのは、芸能活動のかたわら、介護福祉士や准看護師として現場で活躍する北原佐和子さん。今回は、北原さんの著書『ケアマネ女優の実践ノート』から、北原さんが介護の現場で経験したエピソードを一部ご紹介します。 【写真】『暴れん坊将軍』『水戸黄門』など、多くのドラマに出演していた北原さん * * * * * * * ◆鮮明に思い出した過去の出来事 何かのメッセージかも…… 子どものとき、夕方になると、仕事から帰ってくる父を迎えに決まって駅まで出かけていました。 父を待っている間、駅の改札口や券売機の前で、高齢者や体の不自由な方が困っている様子を見かけることがよくありました。 手伝ってあげたい。けれど、恥ずかしい……。 まだ幼かった私は、見知らぬ方に声をかける勇気がなく、ただ気になって遠巻きに眺めているだけでした。 そんな日は、すごく悔しくて、重い足取りで帰宅したものです。
◆ある大雨の日 20代の頃、ある大雨の日、車を運転していたら、体にマヒのある男性が大通りでタクシーを探しているのを見かけました。 傘を差していたけれど、全身びしょ濡(ぬ)れです。 子どものときの記憶が蘇(よみがえ)りました。 今日こそは勇気を出そうと、「よろしかったら、どうぞお乗りください」と声をかけて、その方の自宅近くまで送ることにしました。 その方は、「手伝いはいりません」とおっしゃって、両手で体を支えながら車を乗り降りしていました。そして、週に2~3日、電車を乗り継いで仕事に通っていることなどを教えてくださいました。 当時、その方のたくましさに強く心が揺さぶられました。 そんな昔の記憶がありありと思い出され、「何かのメッセージかも……」と思わずにはいられませんでした。
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