AIエージェントの登場で「やっと」SiriとAlexaが本当に役立つものになる可能性
2016年、グーグルのCEOに就任したばかりのスンダー・ピチャイは、「人工知能(AI)ファースト」の取り組みの一環として発表した音声アシスタントの「Googleアシスタント」が、必要な情報を瞬時に提供し、人々の暮らしを劇的に変えていくと述べていた。 しかし、この高い目標のほとんどは実際のところ達成されておらず、多くの場合、このツールはウェブ検索に頼り「お役に立てません」と申し訳なさそうに返答するのみだった。このため、ユーザーは音声アシスタントを料理のタイマーや音楽の再生、照明の操作などの単純なタスクに限定して使うようになっている。 同様に2014年に登場したアマゾンのAlexaも優れたものとは言えず、2011年にアップルが他社に先駆けて投入したSiriは最も酷評されるツールになっている。 ■AIエージェント関連企業への投資件数は1年で81%以上増加 そんな中、ここ2年間で生成AIが主流となったことで「AIエージェント」と呼ばれる新たなAIソフトウェアの可能性が開かれている。このソフトウェアは、レストランの予約やEコマースの注文といった場面で、具体的な行動を起こしたりタスクを完了したりするようにプログラムされている。そして2025年、ピチャイが「エージェント時代」と呼ぶものが到来し、音声アシスタントを本当に役立つツールにすることが可能になるかもしれない。 今後は、GoogleアシスタントやAlexa、Siriなどのツールがようやく個人秘書のように機能するという約束を果たすことが期待される。現状のGoogleアシスタントは、1日のスケジュールを読み上げる程度の機能しか持たないが、将来的には会議の時間を設定して、参加者に連絡を取って都合の良い時間を調整することができるようになるかもしれない。また、旅行の日程と目的地の情報をもとに、フライトやホテルを予約するデジタル旅行代理店のような役割も果たす可能性がある。 調査会社フォレスター・リサーチによると、ハイテク業界で注目を集めるエージェント技術に特化したプラットフォームの数は、470を超えており、ここには大手のテック企業だけでなく、LangChainやCrewAI、Play.aiなどの小規模なスタートアップも含まれる。この分野の企業は、消費者向けの機能のみならず、顧客サービスやソフトウェア開発向けのツールとしてビジネスを変革する可能性がある。