トランプ氏返り咲き、世界で明暗分かれる-新たな不透明性に各国対応
(ブルームバーグ): トランプ前大統領のホワイトハウス返り咲きを、世界は衝撃と恐れをもって受け止めた。
中国や欧州などの政府当局者にとって、一方的に関税を課され、安全保障への米国のコミットメントが揺らぎ対米関係が不安定化したトランプ氏1期目の苦い記憶はまだ鮮明に残る。2期目にどのような新たな不透明性がもたらされるのか戦々恐々で、米大統領選の結果に一部のアジア外交官はショックの顔文字で反応した。
トランプ氏の勝利に、欧州ではスターマー英首相ら各国の首脳が祝意を急いで表明した。トランプ氏は選挙期間中にウクライナ戦争を即座に終結させると主張していたため、同国に対しロシアへの領土割譲を強いる可能性への懸念も大きい。フランスのマクロン大統領は6日、ドイツのショルツ首相と電話で「この新たな状況」での協調を話し合った。
トランプ氏の選挙運動は米国内に焦点が当てられ、自陣営への勝利宣言のスピーチでも外交政策への言及はなかった。だが、同氏の1期目の経験から、敵対国にも同盟国にも、今後多くの波乱が待ち受けていることが示唆される。
米国では珍しく共和・民主両党が足並みをそろえて標的にする中国は、同国製品に最大60%の関税を課すとトランプ氏が公約していることから、トランプ新政権でやり玉に上げられそうだ。トランプ氏勝利は「悲観と不透明性を意味する」と、北京の清華大学戦略・安全研究センターの達巍主任は述べた。
中国外務省の毛寧報道官は6日、北京で開いた定例記者会見で、同国の対米政策は一貫しており、「相互尊重」と協力の原則で対応していくと語った。
最悪に備え
だが、舞台裏では「中国政府は常に最悪に備えようとしている」と、人民解放軍の元研究員で現在は北京のシンクタンク、国観智庫の米国研究ディレクターを務める朱ジュンウェイ氏は指摘。「貿易セクターに多くの不安が生じるだろう」が、トランプ氏返り咲きで懸念があるのは中国だけではないとし、「それが中国の外交余地や機会を広げるだろうか。恐らくそうだろう」と語った。