トランプ氏返り咲き、世界で明暗分かれる-新たな不透明性に各国対応
北朝鮮の脅威に対抗し、米国、日本と正式な安全保障パートナーシップを結ぼうとしていた韓国でも、安全保障上の懸念は明らかだ。トランプ氏の勝利で年内に日米韓首脳会議を開く見通しは危うくなった。
北朝鮮によるロシア派兵への対応決定は、いまや米選挙結果を踏まえて見直されると、韓国政府の当局者は述べた。
ウクライナの運命
トランプ氏と共に選挙戦を戦ったバンス副大統領候補は、米国はウクライナよりもアジアにもっと注力すべきだと発言しており、欧州の不安を強めている。欧州連合(EU)加盟国首脳は7日の夕食会で米選挙結果について議論した上で、8日に定例の会議をブダペストで開く。
トランプ氏は米国への輸入品に20%の関税を課す意向を示しており、導入されれば米国への輸出が昨年5000億ユーロ余りに上ったEUへの打撃がとりわけ大きい。トランプ氏が勝利し、懲罰的な貿易措置がとられた場合に報復の標的となり得る米国製品のリストをEUは既に準備していると、ブルームバーグは10月に報じた。
8日のEU首脳会議の議長を務めるハンガリーのオルバン首相は、トランプ氏の返り咲きが世界に「平和への希望」をもたらすと主張している。同首相はウクライナ支援を巡ってEUとたびたび対立しており、ロシアとは緊密な関係を維持している。
米国の支援がなくなればウクライナは補給が絶たれる恐れがあるため、欧州が介入して防衛面の自立を強める必要があるとの別の結論を導く欧州首脳もいる。欧州は米国と前向きな関係を維持することに関心があるが、EUの安全保障と繁栄がかかっている問題を過小評価することはできないと、外交当局の高官は語った。別の外交官は、欧州にとって決定的な瞬間になるかもしれないとの認識を示した。
米大統領選ではロシアのプーチン大統領も勝者だろう。「いずれにせよ、トランプ氏はウクライナでの戦争を終わらせるつもりだ。同氏がロシアに降伏を求めるとは思わない」と、シンガポールの元外務次官で国連安保理議長を務めたキショール・マブバニ氏は述べ、「最大の敗者は間違いなく、断トツで欧州だ」との見方を示した。