トランプ氏返り咲き、世界で明暗分かれる-新たな不透明性に各国対応
前途にチャンスを感じ取っているリーダーもいる。「親愛なるドナルド、メラニアへ」で始まり、「歴史上最高のカムバックだ!」との祝辞をX(旧ツイッター)に素早く投稿したイスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスやヒズボラ、イランに対していっそう大胆になれると感じているかもしれない。
開票結果が明らかになる中で、インド政府当局者もモディ首相とトランプ氏の個人的な関係がプラスに働くとみて、楽観的だった。トランプ新政権は外国に住む反体制派へのインド政府の犯罪関与で、責任の追及にあまり厳しくないともみられているという。米国は国内で発生したシーク教分離主義者の暗殺を命じたとしてインド政府当局者を起訴し、カナダは別のシーク教活動家が同国で殺害されたことにインド政府が関与したとして非難している。
AUKUS、台湾
中国の拡張主義に対処するため米英と安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を結んだオーストラリアでは、議員らが内々に諦めたような口調で話していると、事情を知る外交官が明らかにした。望んではいなかったものの、議員らは今回の結果を予想しており、トランプ政権から引き出せる最高の結果を得ることに今や注力しているという。
中国が自国領だと主張する台湾は、トランプ氏の「予測不能と孤立主義」を懸念していると、台北の東呉大学政治科学学科で助教の陳方隅氏は発言。AUKUSや日米フィリピンの安全保障協力が損なわれる恐れもあると指摘した。
中国が台湾を侵攻や封鎖する場合に、米国が支援するのかトランプ氏は疑問を呈したことがある。陳氏は「トランプ氏は依然、台湾を中国との交渉材料か中国問題に付属する何かとしか見ていない」と述べ、「トランプ氏自身は台湾を全く気にかけていない」と続けた。
石破首相、今月にも会談機会か
日本は米国への輸出品に課され得る関税の影響をより詳細に調べることになるだろうと、複数の政府当局者が明らかにした。石破茂首相は今月下旬にブラジルで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議からの帰途で米国に立ち寄り、トランプ氏と会談する機会を得るかもしれない。