危機管理の失敗で「高島屋」は崩れたケーキの代名詞になる。(中嶋よしふみ・FP ウェブメディア編集長)
■イチゴの入荷遅れが原因? 噂話を蔓延させる高島屋の責任。
各種の報道を見るとイチゴの入荷が遅れてギリギリのタイミングに製造した、結果として冷凍にかける時間が極端に短くなった、これが原因ではないか?とも報じられている。 もちろんこれも推測でしかないが、仮にこれが原因であればイチゴの調達が遅れしまい、配送に耐えられる固さに冷凍することが困難だったにも関わらず事前にキャンセルをしなかった、ということで高島屋の責任になるだろう。 他にもSNSやニュースを見ていると、流通の専門家や工場で働いた経験があるという人から、憶測が多数でており、中にはこれが原因に違いないとバズっている話も複数ある。 例えば「工場で製造した後に、箱詰めして冷凍庫まで運ぶ途中でケーキをひっくり返したしまい、本来なら報告しないといけないのに怒られるのが嫌で報告しなかった人がいたのでは?」といったような話だ。 もっともらしく聞こえるが、800個ものケーキをひっくり返したのか?と考えればこういった個別のミスであることは考えにくい。 年末の冷凍便は大量の荷物で忙しい、どこで解けてもおかしくないと言った指摘も多い。最近では物流がパンク状態であることがたびたび報じられているためそんな風に考えた人も多いだろう。筆者も当初は配送途中で解けたと思い込んでいた。 しかし、これも前述の通り800個も解けて崩れていたのなら他の商品も同様に解けて崩れているはずで、配送段階で解けたことは考えられない。もっと前の段階で大量に解ていて、それが個々の配送段階で崩れた可能性はあるかもしれないが、そうであれば配達したドライバーの責任とは言えない。 このような的はずれな憶測が蔓延する理由は高島屋がこれ以上の調査をしないと断言しているからだ。アレコレと推測をすることはいくらでも可能だが、憶測で犯人扱いされた企業はたまったものではない。 結局は調査をして原因を突き止める必要があり、最低でもどの段階で崩れたのか、あるいは解けたのか、絞り込みをしないかぎり風評被害はやまないということになる。