妻の葬式の日は友人と仕出しの料理を食べた。葬式翌日は娘に朝食を作り、ふたりでトーストとハムエッグを食べながら泣いた。結局、人は食べて寝る
多くの夫婦は、最後にはどちらか片方が先立ち、どちらか片方が残されることに。そして夫を亡くした妻の余命にはさほど変化が無いとされる一方、妻を亡くした夫の余命は、平均に比べて約3割も短くなると言われます。そんななか、奥さんに先立たれたのちに作成した動画「ようやく妻が死んでくれた」が853万回再生を超え、大きな反響を生んだのがぺこりーのさんです。今回そのぺこりーのさんの著書『妻より長生きしてしまいまして。金はないが暇はある、老人ひとり愉快に暮らす』より一部を紹介します。 【写真】疲労困憊の日々の中で娘が残していたメモ * * * * * * * ◆食べて寝る、結局人間はこのふたつで生きている 食べて寝ればそれで幸せ。 単純すぎるかもしれないが、あながちはずれてはいないだろう。 人は、食べることと寝ることが満たされていないと、幸福感はおぼえないと思う。 いろんな理由でダイエットしたり食事を制限したりしている人たちがいるが、そのストレスは相当なものだろう。 一日一食の生活を続ける芸能人の話もよく聞く。 撮影は早朝から深夜に及ぶことも多いだろうから、睡眠時間も不規則だ。そういうストレスを長年抱えて生活するのは、並大抵ではない。世界中で芸能人の自殺が多いのは、そのストレスのせいではないかと私は思っている。
◆妻が倒れた日も 結局、人は食べて寝る。 妻が倒れた日も、私はスーパーで安いオージービーフを買って焼いて食べた。そして、仕事と病院と2匹のワンコの世話で、毎日倒れるように寝ていた。 3カ月間、集中治療室にいた妻の見舞いのため、とにかく会社と病院と自宅を移動し続ける毎日。私も体重が減り、疲労で自分も倒れるかもしれないと思った。 もう年齢も60歳になろうとしていたから、体力は限界だったのだろう。 そんな私を心配して、娘がご飯を作って書き置きを残してくれたことがあった。冷蔵庫にあった牛肉と長いもで作ってくれた煮物。これがやけにうまかった。
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