1円でも稼ぐ!地獄を見たANAの新戦略
大ヒット9種類の機内食~売れるものはなんでも売る!
いったい何をして稼いだか。 (1)機内食 東京・渋谷区のスーパー「明治屋 恵比寿ストアー」。10月5日、あるコーナーに客が集まっていた。お目当てはパッケージに「ANA」の文字が入った冷凍食品だ。国際線のエコノミークラスで提供される機内食。この日は「パエリア」(864円、取材時の店頭価格)の試食が用意されていた。他にも「ハンバーグドリアデミグラスソース」や「鶏もも肉のハーブ風味赤ワインソース」など人気の機内食9種類をラインアップ。この冷凍食品、スーパーなどで販売したところ大ヒット、累計200万食以上が売れたものだ。 コロナ禍でフライトがなくなると、機内食の工場も大打撃を受けた。そこで工場サイドが提案したのが冷凍食品としての販売だった。 「コロナで飛行機が飛ばない。なんとかしないといけないということで機内食を売ったらどうかと。非常に売れましてびっくりしています」(ANA総料理長・清水誠)
(2)備品販売 羽田空港内の格納庫。定期的にクリーニングするシートカバーは、以前はキズが見つかると廃棄していた。しかし、今はルームシューズ(1足6930円)に生まれ変わっている。提案したのはマイルポイント関連の業務をしているBPOサービス事業部・照沼有紀子だ。
また、整備士たちの作業着でバッグを作ることを提案したのは、飛行機の整備部門である機体技術部作業基準チーム・高橋秀弥だ。 「社員のコミュニティーがあってコロナ禍で何かできることがないかと。1円でも多く稼いでいこうと。『実はこういったものが廃棄されていてもったいない』という言葉から始まりました」(照沼) これも予想外の人気商品になった。ネットで売り出すたびすぐ完売になる。少しでも稼ごうと、さまざまな部門が協力し、アイデアを出し合っていたのだ。
機内の備品まで販売した。客室乗務員が機内食を配る時のカートはANAのショッピングサイトで11万5500円で販売。 さらにオークションで売ったものもある。飛行機の窓は約46万円、ファーストクラスの座席は約380万円で落札された。 「機内カートは非常に反響をいただきまして合計1000台以上購入いただいています。(現在は)ありがたいことに運行が戻っており、なかなか販売する機会がありません」(全日空商事A-style事業部・池田杏那)