1円でも稼ぐ!地獄を見たANAの新戦略
1986年には初の国際定期便 東京―グアム路線が就航。同じ年、ロサンゼルスやワシントンへも相次いで就航した。 「将来有望の糧は国際線だと思ってやってきました。アメリカの3路線開設は我々にとって本当に大きな喜びでした」(芝田) その後も、中国路線を拡大するなど、コロナ前には世界21の国と地域、65路線に伸ばし、日本航空を抜いて国内最大の航空会社となったのだ。
ロボット&空飛ぶタクシー~航空会社がいったいなぜ?
大分・別府市立東山小学校の6年生が、教室にいながら社会科見学をしていた。見ていた画面では、種子島にあるJAXA「宇宙科学技術館」をガイドが案内していた。 この様子を映しているのはモニターがついたロボット「newme」。ガイドが動くと、「newme」もついていく。操作しているのは教室の子ども。パソコンの十字キーで前後左右、首の向きも動かせる。
「newme」はANAグループから生まれた初めてのスタートアップ「アバターイン」が開発したもの。コロナ禍で自宅にいながら旅の気分を味わってもらおうと、観光施設などに設置され、人気となった。 「ANAが最初ヘリコプター2機から始まって日本最大のエアラインになりましたので、次はどういった手段でお客様を目的地までお運びするかと考えた時に、こういった乗り物であれば世界中に行ける。身体の移動ではなく、意識、存在感、技能を移動させるサービスに進化したと思っていただければ」(「アバターイン」CEO・深堀昂さん)
「newme」はいま、さまざまな企業でも使われている。 ある住宅設備メーカーの展示場では「newme」が接客係になり、スタッフを客に見立ててテスト運用が始まっていた。実際に運用できれば、各地にあるショールームに多くのスタッフを配置しなくて済むというメリットがあるという。
一方で10月、東京ビッグサイトでは国内外の自動車メーカーが、最新の車を展示するイベント「ジャパンモビリティショー2023」が開かれていた。 芝田が足を止めた先にあったのは、手軽に空を移動することができる、いわゆる「空飛ぶクルマ」。今、世界中で開発が加速しており、ANAはアメリカのメーカーと組んだ。 ビルの屋上で乗り降りして、街から街へ乗客を運ぶ「空飛ぶタクシー」としての運航を目指している。