高校サッカー選手権優勝の大本命 6バックで守る相手も粉砕する大津が悲願へ前進
【対戦相手の敵将が感じたのは守備の強さ】 福井商(福井県)と対戦した1回戦は、夏からの成長を示す格好の舞台だったかもしれない。 今年の福井商は、3バックの選手がドリブルを仕掛ける攻撃色の強いチームだったが、全国トップクラスの力を持つ大津の攻撃を止めるのは簡単ではない。そこで採用したのは、守備の可変システムだった。狙いについて高木謙治監督はこう明かす。 「ただ引いているだけだとずっと攻め込まれる展開になる。でも、ボールにプレッシャーを与え続けると、簡単にやられてしまう。真ん中には強力な山下くんがいるので、そこを2枚、3枚で守らないといけないし、サイドも消さないといけない。すべてカバーできる方法を考えた結果、中盤の5人が上下動して、DFラインを4枚に見せといて5枚で守ったり、6枚で守る方法をとりました」 地上戦のすべてを消したうえで、セットプレーと空中戦の対策に絞ることができれば、何とか耐えられると踏んでいた。実際、思っていた以上に押し込まれ、6バックで守る時間帯も長くなったが、ここまで引かれた相手と対峙する経験は大津にも少なく、戸惑いも見られた結果、無失点で時計の針を進めた。 だが、前半36分に右クロスから兼松がヘディングシュートを決め先制点。後半21分には守備ブロックの前から入れた浮き球を、途中出場のFW岩中翔太(3年)が頭で合わせた。 以降も福井商の奮闘を受け続けながらも2点を奪い、終わってみれば4-0で試合を終えた。分厚い守備を物ともせず、得点を積み重ねた攻撃力に目が行きがちだったが、福井商の高木監督は実際に対戦して、守備が印象的だったという。 「ほとんど後ろが1枚だったのですが、守備も隙がないし、ミスもないのでカウンターがかからない。攻撃ばかりに目が行くのですが、守備の乱れが全くなく、切り替えが早い。僕らがやろうと思ってもできないようなハイリスクな守備で、攻撃に人数かけていた。攻撃だけではない、大津の強さが垣間見えたので、さすがでした」