乗客の中には3月に結婚控えていたカップルも、チェジュ航空事故、韓国で指摘される複数の「問題点」
空港周辺では、鳥の群れと正面衝突し、上空にいる機体の右翼から白い煙りがでているのが目撃されており、「ボン」という大きな音と共に機体の後尾から火花がでているのを見たという証言も出ている。 ■チェジュ航空の韓国での評価 事故を起こしたのは、バンコク発の済州(チェジュ)航空のボーイング737型機だ。ヨーロッパのLCC(低コスト航空)大手のライアンエアーが2009年に購入し、2017年に済州航空にレンタルされたと伝えられている。
済州航空は、韓国のLCCとして2005年、済州島(済州特別自治道)と中堅財閥・愛敬(エギョン)グループ)が合弁で設立した。愛敬グループは、化学や日用品の製造を中心にAKプラザなどのショッピングセンターも運営している。 韓国のLCCとしては急速な成長を果たしており、シェアでは大韓航空に次ぐ規模(15.4%)にまでなっている。日本には、東京・成田はもちろん、関西、福岡などにも就航しており、利用した人も多いだろう。事故が起きた務安国際空港では、つい先日、長崎との就航便を始めたばかりだった。
しかし、急成長する一方で、3年前には韓国の航空会社の中での総合安全度スコアは最下位となり、同社に対する政府の管理監督官が2倍に増員されてもいた。航空機の平均稼働時間が他社よりも長く、機体の老朽化が早いという点も指摘されている。 事故の確かな原因はフライトレコーダーやボイスレコーダーの解析を待つよりほかないが、韓国では、バードストライクやランディングギアの誤作動、機体の整備など、さまざまな角度から報じられている。
事故の原因についてはバードストライクが挙げられており、同機は一度着陸に失敗し、二度目に胴体着陸を試みているが、映像ではランディングギアが出ていないことが確認されている。 バードストライクがあったとしても、手動でも作動できるランディングギアがなぜ出ていなかったのかという点について、韓国の専門家は、電子・油圧系統が故障したのではないかと推察している。 ■着陸前に燃料の消耗を試みていない また、胴体着陸を試みる場合には、爆発の被害を最小限にとどめるため、燃料を空中に強制噴出したり、旋回するなどして通常であれば燃料を消耗させるが、これを行っていないことがわかっている。同機体には燃料放出機能がなかったことがわかっており、そのため、旋回する時間がないほど一刻を争う事態が起きていたのではないかと言われている。