やるべきことを徹底する東山が勝利。劇的なエンディングを迎えたインハイ京都予選の決勝には、サッカーの根幹となるものがあった
「黒田がプロの世界でもやれているのは、高校サッカーの指導者にとって励みになる」
得点に至るまで無失点を継続できたからこその勝利でもある。「日頃から東山らしさを持たなければいけないと思っている。ハードワークや攻守の切り替え、粘り強さは日ごろの練習による積み重ねでしかない」。DF辻綸太郎の言葉通り、決して華麗ではないかもしれないが、やるべきことを1試合通して徹底する、いわゆる“高校サッカーらしさ”を貫けるのが東山の特長であり、勝負強さの原動力だ。 今年は黒田剛監督のもと、そうした“高校サッカーらしさ”を徹底するFC町田ゼルビアがJ1で首位に立ち、席捲している。福重監督と黒田監督は大阪体育大学の同級生で、今でも小まめに連絡を取る仲。 福重監督は「憎たらしいけど、応援している」と冗談を口にしつつ、続ける。「全てではないけど、高校サッカーでやっていることがやっぱりリンクされているし、黒田が言っている言葉は、青森山田のロッカールームと一緒だと思う。黒田がプロの世界でもやれているのは、高校サッカーの指導者にとって励みになる」。 町田の躍進やインテンシティを求める現代サッカーの潮流もあって、そうした高校サッカーらしさが見直される風潮があるように感じる。「やっていることが、日本サッカーに少なからず影響を与えているのかなと思えれば、また僕らも励みになる。もっともっと勉強して、16歳から18歳の選手にいろいろ還元していきたい。高体連の選手でも鎌田大地のように日本代表にもなれると伝えていきたい」(福重監督)。 劇的なエンディングを迎えた京都予選の決勝には、高校サッカーが長年積み上げてきたサッカーの根幹となるものがあった。 取材・文●森田将義