小惑星は「そろばんの玉」型で巨大クレーターも? はやぶさ2が撮影
なぜ「科学的に意外」?
吉川氏は独楽型の形状を「科学的に意外だった」と述べたがそれはなぜなのか。吉川氏の説明によると、独楽型の小惑星というと、米航空宇宙局(NASA)が探査機を送る小惑星Bennu(ベヌー)をはじめとしていくつか見つかっているが、これらは基本的には直径492メートルで自転周期が約4.3時間のベヌーのように、「小さく」「自転周期が早い」ことが特徴だという。 それに対して、リュウグウは大型ではないものの直径は1キロ近くあり、自転周期も約7.4時間と速くはないことから、「意外」という感想につながった。
なぜ独楽型になった?
独楽型になるプロセスについて、吉川氏は「もともと球形だったものが、自転が速いと独楽型に変形していくという研究がある」と述べた。高速自転の遠心力によって、地表の岩石由来の粒子やかけらなど(レゴリス)が赤道に集まってくるという論理だ。 そのため、リュウグウがこのような形状になった理由としては、「おそらく、かつては自転が速かったが、何らかの理由で自転が遅くなったはず」と推測した。自転の周期を変える可能性としては「YORP(ヨープ)効果」という理論を挙げた。 いずれにせよ、はやぶさ2がリュウグウに到着してデータが取れるようにならないと詳細は分からないと強調し、今回の探査によって「小惑星の形成や進化の過程が分かるようになるんじゃないか」と期待した。
着陸は問題ない?
小惑星の形状が分かってきたことで、はやぶさ2の着陸探査にはどんな影響が考えられるのか。吉川氏は「全体的な形はイレギュラーではないので安心材料だが、着陸は狭い領域での凹凸が問題になる。着陸は数メートルの岩があっても危険で、そこが本当に平らであることを確認する必要がある。まだこの画像だけでは着陸のリスクがあるかないかは言えない」との見方を示した。 現時点でのミッションスケジュールによると、はやぶさ2は、9月からリュウグウの地表への小型ローバ(探査車)投入や、リュウグウ表面の物質の採取(タッチダウン)などの観測を始める予定。JAXAは着陸地点について、8月中には決めたいとしている。