今日WBSS決勝!井上尚弥は圧倒支持のオッズ通りKOで勝てるのか。ドネアに番狂わせ機会はあるのか?
だが、井上尚弥は「トーナメントが始まって毎試合、そういうオッズが出ていますが、自分の中では、それほど差があるとは思っていない。ボクシングは、いつどこで何があるかわからないスポーツ。オッズは頭から消して明日は戦う」と油断はしていない。 大橋会長も「怖いのは経験。経験と共に左フックのカウンターの精度は上がっている」と警戒した。 対するドネアも「オッズでどちらが有利かは関係ない。他人が決めた評価。自分が何ものか、自分が何をできるかはわかっている。自分には自分で信じている力があるから気にはしていない。今までのキャリアでアンダードッグ(弱者の立場)で戦って勝利をした経験は多くある」と意に介していなかった。 そもそもドネアが初めて世界王者となった2007年のビック・ダルチニアンとのIBF世界フライ級タイトル戦が大番狂わせだった。 井上尚弥はオッズの支持通りに勝てるのか。それともドネアに番狂わせのチャンスはあるのだろうか。 そのボクシング理論に定評がある元WBA世界Sフライ級王者の飯田覚士氏は、「ドネア侮るべからず」という見方をしている。 「ドネアはバンタム級に階級を戻してから3ラウンドまでは全盛期に近い動きが戻っている。左フックの威力も健在だ。序盤にそのカウンターで勝負する気でドネアが出てくるのならば、井上選手は気をつけなければならない。左のカウンターをもらうリスクのあるパンチ、特にボディブローを打つのは危険。僕が井上陣営なら序盤は、慎重に左を中心に攻めるべきだという指示をするだろう。 だが、もしドネアがその3ラウンドまでを守備的にガードを意識して戦うならばカウンターのタイミングはワンテンポ遅れるので、序盤から井上選手にチャンスが出てくる。ただ、3ラウンド以降は年齢的な問題もあって動きが落ちる。精度も下がる。中盤以降に戦いがもつれるならば、井上選手がいつ終わらせるのか、というような展開になるだろう。このような状況の中で、もし3ラウンドまでに井上選手が仕留めたならば、それは、全盛期に近いドネアに勝ったということ。世界的な評価を受けることになる」 井上尚弥は、おそらく飯田氏が指摘するように多様な左ジャブを中心にスタートを切る。まるでストレートのような左も放つ。左フックのカウンターをもらうリスクを消した上でスピードに決定的な差があると感じれば、一気にGOサインを自分自身に送るだろう。井上尚弥が天才と呼ばれる所以の察知力である。 父の真吾トレーナーに「ドネア3ラウンドまで全盛論」をぶつけたが、「それだけの動きをするだろうとは十分に想定している」と話していた。