今日WBSS決勝!井上尚弥は圧倒支持のオッズ通りKOで勝てるのか。ドネアに番狂わせ機会はあるのか?
ドネアは「経験から得た対応力、適応力で勝負したい」と繰り返してきた。 関係者の間では「重心を前にして1ラウンドから勝負をかけるのではないか」という声や「ガードを固め守備的に戦って勝負を中盤以降に長引かせる作戦かも」など様々な情報が飛び交っている。 この日、ドネアに秘策はあるのか?と質問したが、「シークレットプランはない」と断言した上で、こう続けた。 「作戦というよりも自分は経験をもっている。その引き出しを使うのが作戦」 計量を終えるとドネアは、ホテルの部屋でサラダとフルーツで簡単に胃を満たした後に報道陣の取材に応じた。勝負メシは、日本に来れば名店巡りをするほど「大好きなラーメン」。夜にはステーキを食べ、当日は4.5キロから5.4キロ戻して戦うという。 一方の井上尚弥はポットに入れて持参した真吾トレーナー特製の「SSZ(真吾スペシャル雑炊)」をゆっくりと噛みしめ胃に流し込んだ。 「大勢のメディアがいるので風邪やウイルスが入って最後の最後に体調を崩させたくない」との大橋会長の配慮で、報道陣に応対せず、会場を去った井上尚弥は、横浜の大橋ジムの2階にある和食店で、うどんや雑炊など炭水化物をたくさん食べ、夜にはセミファイナルでWBC世界バンタム級王座の統一戦に挑む弟の拓真(23)と共に馴染みの焼肉屋へ行った模様。恒例の勝負メシだ。 井上尚弥は「この試合は、今後の大きな試合に向けての第一歩になる。しっかりと勝ちたい」とも語った。ドネアに勝てば、世界的なプロモート会社であるトップランク社との契約が一気に具体化する。そうなるとビッグファイトが用意される海外のリングが主戦場になってくるだろう。 大橋会長も「パッキャオを超えて欲しい。日本人ボクサーとしてそうなれる可能性を持っているのは尚弥くらいだろう」と期待を寄せる。 5階級制覇を果たし“パッキャオ二世”としてフィリピンから世界へ飛び出したドネアを乗り越えて、日本から世界へ飛び出していく“将来絵図”は、もう夢物語ではなく、すぐ目の前にある目標となった。 井上尚弥自身は、以前、「6階級は無理。いけても5階級まで」と語っていたが、すでに、そのインパクトは、パッキャオのサクセスストーリーに勝るとも劣らぬ怪物クラスのものになりつつある。 当日は、ボクシング大好きの世界的ギタリスト、布袋寅泰が提供する曲で入場し、初めてフード付きのロングガウンを着用、トランクス、シューズ、グローブまで「シルバーに見えるような」グレーとイエローで統一した。そして、それらは最新トレンドのパイソン柄(蛇柄)で飾られている。 まるで獲物を狙う蛇のように一撃でドネアに食らいつく。筆者の予想としては、どうシミュレーションしても、井上尚弥の早いラウンドのKO勝利しか考えつかない。あるいは、誇り高きレジェンドが、どこかのラウンドでコーナーを立たないギブアップによる決着――。運命のゴングは午後9時頃に予定されている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)