なぜサッカー選手→芸人へ? 「お前は雇えない」…SNSで状況一変、100万回再生された異例キャリア【インタビュー】
南米サッカーを経験したマリンボブ氏は引退後、現在は芸人として活動中
パラグアイ、ボリビアの南米で約8年半プロサッカー選手としてプレーし、引退後はピン芸人として活動しているのがマリンボブ氏(本名:松本磨林/吉本興業)だ。20代後半に差しかかった頃、現地ベテランFWのうまさに衝撃を受けて引退を決意。日本に帰国後、異例のキャリアを歩むマリンボブ氏に今の苦労を尋ねた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也/全4回の4回目) 【実際の映像】マリンボブの“南米サッカーあるある”「パラグアイで長年プレーしていた男が日本で審判をやったら」 ◇ ◇ ◇ 単身でパラグアイに渡り5年。一時帰国後、ボリビアに挑戦し3年半プレーした。マリンボブ氏が憧れた南米サッカーを、自ら体現できるようになる。“粗々しいプレー”で現地の監督、コーチ、選手の心を掴んだ。だが26歳の時にサッカーを辞めて、日本に帰国しようと決意する。当時ボリビアチュキサカ州1部デポルティーボ・アレマン・デ・スクレで主力だったマリンボブ氏を、チームは必死に引き止めた。 「チームが降格プレーオフに進んでしまって。会長に『辞めます』と伝えたら『いや無理だよ』と言われました。当時外国籍選手が僕を合わせて3人いたのですが、みんな『降格プレーオフなんか戦いたくない』と」 ただチームメイトだったベテランのウルグアイ人FWフアン・ダニエル・サラベティが見せるプレーと、自身の現状に大きな差を実感し「心を打ち砕かれてしまった」マリンボブ氏の意思は固い。「お前がいないとまずい」と会長に言われ引き止められていたが、「帰国したら追ってこられないだろう」と即座に日本への帰路に着いた。 FacebookなどのSNSでは帰国後も「お前いまどこにいる? まじでふざけんなよ」といった趣旨のメッセージがしきりに届いていたがお構いなし。「契約書はあってもないようなものなので」と無視し続けた。 その後日本で再就職先を探したマリンボブ氏は、まずサッカーコーチの門を叩く。だが「日本での社会人経験がないからお前は雇えない」と突っぱねられてしまった。悩んだ結果、次に思い浮かんだのが“芸人”だった。「お笑いについて全く無知だった」マリンボブ氏は、芸人の名前さえ分からない状態。長らく南米で過ごしたマリンボブ氏にとって、まさに「浦島太郎」状態で、「まずはYouTubeチャンネルでM-1などのネタを最初から見て」研究することから始める。