江戸時代創立の耐久 「耐えて」つかんだ初の甲子園 センバツ
3月18日開幕の第96回選抜高校野球大会に出場する32校が26日、決まった。野球どころの和歌山からは一般選考枠で耐久、21世紀枠で田辺と、共に伝統のある県立高2校の出場が決まった。甲子園切符をつかんだ球児たちの歓声が各地で冬空にこだました。 【写真特集】センバツ出場の知らせを受け喜ぶ選手たち ◇耐久 1905年創部で、春夏通じて初の甲子園出場を決めた耐久(和歌山)。「しょうゆ発祥の地」とされる湯浅町にあり、創立はペリー来航よりも早い、江戸時代の1852年にさかのぼる。同校OBの井原正善監督(39)に率いられ、校名のごとく「耐えて」勝つ野球で長年の夢をかなえた。 40年ぶりに出場した近畿地区大会では最速142キロ右腕の冷水(しみず)孝輔投手(2年)を軸に、ベスト4入りを果たした。部員は19人で、地元出身者がそろう。1年生の時から主力を担った選手が多く、2022年夏には「甲子園に行ける力がある」と信じ、練習を重ねてきた。 この日、グラウンドで吉報を受けたナイン。赤山侑斗主将(同)は「うれしい気持ちと責任感が大きくなった。耐えて耐えて自分たちらしい泥臭い野球で耐久旋風を巻き起こしたい」と意気込んだ。 ◇田辺 21世紀枠に選ばれた田辺(和歌山)も、1896年開校、1898年創部と歴史が長く、県内屈指の進学校だ。地域の野球人口減少に歯止めをかけようと、取り組むのは未経験児童を対象とした野球教室。石段ダッシュなどトレーニングでお世話になっている近くの高山寺では、日常的に掃き掃除やゴミ拾いをしている。 秋の県予選では、準々決勝で23年夏の甲子園に出場した市和歌山に八回コールドで勝利。準決勝の智弁和歌山戦は4番の山本陣世選手(2年)が逆転満塁本塁打を放つなど打線が爆発した。寺西邦右(ほうすけ)投手(同)が守備からリズムを作り、田中格監督(51)も「言葉に出ない」と感無量の戦いぶりだった。 山本結翔主将(2年)は「和歌山県南部のチームが甲子園から遠ざかっているので、地域を活気づけるためにも甲子園でいいプレーをしたい。優勝を目指します」と力強く語った。【安西李姫、竹内之浩】