史上最も「新鮮」な監督が揃ったセ・リーグ
今シーズンのセ・リーグは3チームで新監督が就任する。3人ともにこれまでにNPBでの監督経験がない「新人監督」だ。セ・リーグでは昨シーズンも2人の新人監督が就任していた。この結果、今シーズンがプロ野球史上稀にみる珍しいシーズンとなったことをご存じだろうか。 今シーズンから指揮を執る高橋監督(巨人)金本監督(阪神)ラミレス監督(DeNA)は当然監督就任1年目、ヤクルトの真中監督と広島の緒方監督は2年目、リーグで最も長いキャリアの監督となった谷繁監督もまだ就任3年目で、同一リーグ内の全監督がキャリア3年目以内となったのだ。1936年に今のNPBの前身である日本野球連盟が発足して以降、監督としてのキャリアが4年を超える監督が1人もいなかったシーズンは、プロ野球発足後の3年間を除くと2度しかなかった(表1)。
1度目は1リーグ時代の1944年。今シーズンと同じく3人が新人監督で、残りの3人も阪急の西村監督が2年目、産業(中日の前身)の三宅監督と阪神の若林監督が3年目だった。そして2度目は記憶にもまだ新しい2006年のセ・リーグ。このシーズンは中日の落合監督と阪神の岡田監督が3年目、巨人の監督に復帰した原監督が通算3年目、横浜の牛島監督が2年目、新人監督はヤクルトの古田監督と広島のブラウン監督だった。 今シーズンはこれに続く3度目の「キャリア4年以上の監督不在のシーズン」となるのだが、1944年と2006年には3年目の監督が複数いたことを考えると、3年目の監督が1人だけという今シーズンは過去最も「新鮮」な監督の揃ったシーズンいえるだろう。ちなみに1944年、2006年ともにリーグを制したのは3年目の監督(1944年は阪神・若林監督、2006年は中日・落合監督)だった。
また今シーズンは巨人と阪神というリーグを代表する2チームがともに新人監督を就任させた。巨人と阪神が同時に新人監督を就任させたシーズンはこれも過去に2度しかない(表2)。2004年は巨人に堀内監督、阪神には岡田監督が就任した。もう1度は1975年で、このシーズンは巨人が長嶋、阪神が吉田という球団を代表する名選手が初めて監督になった記念すべきシーズンだ。ただこの2シーズンは巨人、阪神ともに優勝を逃している。1975年は広島が悲願の初優勝、2004年は中日が優勝を果たしているが果たして今シーズンはどうなるだろうか。