村田ドーム決戦消滅もミドル級世紀の再戦の判定に論争?!第3戦の可能性も
プロボクシングのWBA世界ミドル級スーパー王者、WBC世界同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(36、カザフスタン)と元2階級制覇王者、サウル“カネロ”アルバレス(28、メキシコ)の“世紀の再戦”が15日(日本時間16日)、ラスベガスのTーモバイル・アリーナで行われ、2-0判定でアルバレスが新王者となった。昨年9月の初戦は三者三様のドローに終わっていたが、この日は、スピードで上回るアルバレスが打ち合いを挑みゴロフキンも受けて立つ展開。中盤の貯金でアルバレスが接戦をモノにした。ゴロフキンが負けたことでWBA世界ミドル級王者、村田諒太(32、帝拳)との夢の東京ドーム決戦が消滅。米国で抜群の人気があるアルバレスとの対戦の可能性は高くないが、最終ラウンドの判定を巡っての論争が海外メディアの中で起こっており、第3戦の可能性も出てきた。そうなると、またミドル級戦線は大きく動く。村田は、来月20日(日本時間21日)にラスベガスで指名挑戦者のロブ・ブラント(27、米国)と2度目の防衛戦を行うが、インパクトのある試合内容で勝利を積み重ね米国での評価を上げていくことがビッグファイト実現の必須条件になっていきそうだ。
下がるゴロフキンの姿を初めて見た。ドーピングで陽性反応が出た後の試合とあってアルバレスはシェイプアップ、そのスピードは無敗王者の上をいった。 足を止めた打ち合いを挑み、ゴロフキンもリング中央で応じたが、2ラウンドにはアルバレスが得意とするフックとアッパーの間のようなパンチを顎にもらった。WOWOWで解説していた村田が「普通なら立っていられないパンチ」と評した強烈なブロー。その後も、アルバレスの左のボディアッパーが効果的で、ゴロフキンのステップインに迫力がなくなる。手数ではゴロフキンだが、効果打ではアルバレス。前進を止めないメキシコ人のプレッシャーに押され、早々にゴロフキンの息があがっていた。 だが、そこは20度世界タイトル防衛の歴戦の王者である。手数で徐々にアルバレスを追いつめて10ラウンドには右ストレートがヒット。アルバレスは狼狽した。 前半は互角。中盤はアルバレス、後半はゴロフキンという展開。微妙な空気のまま、試合終了のゴングが鳴った。注目の判定は、1人が「114-114」、2人が「115-113」。リングアナウンサーが「NEW!……」と言った瞬間、アルバレスは喜びを爆発させ、ゴロフキンは無言のまま控え室へ下がった。 最終ラウンドのジャッジは、2人が10-9でアルバレスを支持していたが、もし、この2人が逆に、このラウンドを9-10でゴロフキンにつけていると114-114で3者が並ぶドロー判定だった。 この勝敗を左右した最終ラウンドの判定を海外メディアは論争の的にした。ゴロフキンは、このラウンドの最初から果敢に前に出てきており、右アッパーをヒットさせるなど明らかに優勢に見えた。 英のガーディアン紙は「もし論争があるのであれば、ゴロフキンの明らかなラウンドだった第12ラウンドがアルバレスに与えられるという揺れる結果となったモレッティ氏とウェスフェルド氏の2人のジャッジになるだろう」と指摘。「ゴロフキンは、その夜(パンチの)回数と着弾数で879発中234ヒット(26.6%)で、622発中202ヒット(32.5%)のアルバレスを上回った。だが、たとえ、わずかな差だったとしても若く脂ののったアルバレスの決意と順応性が十分な成功を収めた」と続けた。 英のインディペンデント紙も「最終ラウンドでゴロフキンは、十分にそのラウンドを取るだけの動きを見せたが、モレッティ氏とウェスフェルド氏は、アルバレスに付けた。1人、もしくは、両者がトリプルG(ゴロフキン)に最終回を与えていたら2戦連続の引き分けとなり確実に3戦目へと突入していただろう」と伝えた。 ボクシングサイトのBoxing News24も、「アルバレスに第12ラウンドを与えたジャッジの判定は第1戦で118-110とアルバレス優勢としたジャッジの1人よりも、もしかしたら論議を呼ぶかもしれない。ゴロフキンは、明らかに第12ラウンドは勝っていたが、ジャッジはアルバレスに付け、彼に勝利をもたらしていた。もしジャッジが第12ラウンドをゴロフキンにつけていれば、戦いは引き分けだった」と疑問符をつけた。