日本の主力「H-IIAロケット」と「H-IIBロケット」の違いは?
現在の日本の主力ロケットといえば、25回連続で打ち上げに成功している「H-IIAロケット」と、これまで5回の打ち上げがすべて成功している「H-IIBロケット」です。この両ロケット、名前がよく似ていますが、違いはどこにあるのでしょうか。
H-IIAロケットの特徴
H-IIAロケットは、日本初の純国産ロケット「H-IIロケット」をベースに開発されました。打ち上げ能力(標準型)は、低高度軌道(軌道高度例:約300km)の場合で約10トン。設計の簡素化と、製造作業や打ち上げ作業の効率化により、打ち上げにかかるコストを抑制したロケットです。 2001年8月に1号機(試験機)が打ち上げられて以降、これまで、打ち上げ回数31回のうち、30回成功しています。直近では、11月2日に静止気象衛星「ひまわり9号」を載せた31号機が打ち上げに成功。世界的にも信頼性の高いロケットとされています。
H-IIBロケットの特徴
H-IIBロケットは、このH-IIAロケットの技術をベースに開発されました。両ロケットの大きな違いは、輸送力にあります。H-IIBは、H-IIAの技術をベースにしつつ、H-IIAでは1基だった第1段液体ロケットエンジン「LE-7A」を2基に増強。人工衛星などを搭載する「衛星フェアリング」も大型化しました。打ち上げ能力は、HTV(宇宙ステーション補給機)軌道(同約350~460km)の場合で約16.5トンです。 一方で、上記以外の搭載機器や地上設備については、実績あるH-IIAとほぼ同じ仕様および構成を採用し、信頼性の確保および向上やコスト低減化などに努めています。また、発射設備もH-IIAと共有しています。 H-IIBロケットの1号機(試験機)が打ち上げられたのは、2009年9月。12月9日夜には、宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機を載せて、6回目の打ち上げに臨む予定です。 (取材・文:具志堅浩二)