答えは「現場で」見つかった...職場で「唯一無二」の結果を出す「常識にとらわれない」アイデアの秘密
地方のFラン大学卒で0から営業を始めた著者は、いかにして「日本一の営業」へと大変貌を遂げたのか? 「毎日が凄く辛い」「外回りをしている自分が情けない」...消極的に取り組み始めた営業の仕事が天職になるまでには、どんな心境の変化があったのか? 人と人との関わり合いである営業で得た「学び」には、どんなビジネスにも活かせるヒントが満載。仕事への向き合い方や他者の心の動かし方に迷うビジネスマン必読の話題作『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』(山岡彰彦著)から、内容を抜粋して紹介する。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』連載第11回 『「自分たちの都合で考えるな」…成果を出せず仕事中に車で昼寝をしていた「ダメ営業マン」に上司が授けた営業の「極意」』より続く
新規開拓の切り口
ルート営業時代の同僚の徳田からの連絡です。 「マナベインテリアハーツという大きな家具屋さんがあるんだが、お客さんとゆっくり話ができるよう店の中央にちょっとしたスペースを設けるというので、自販機コーナーを提案しようと思うんだ。暇だったら一緒に行かないか」 暇だったらという言い方に少し反発を感じながらも、知り合いのお店でも紹介してくれるかもしれないと思い「じゃあ、場所を教えてくれ」と返事をしました。
相手が本当に喜ぶこと
指定の時間にマナベインテリアハーツに向かうと徳田が駐車場で待っています。 「おう、悪いな。ルート営業時代に戻るのも気分転換になるぞ」 こちらの状況を知ってか知らずか相変わらずの口調ですが、悪い気はしません。マナベインテリアハーツは県内でも屈指の大型家具店で見渡すほどの店内には大型家具から学習机、ランドセルまで陳列されています。店員さんに案内されて店の中央まで進むとまるで喫茶店のようにテーブルが置かれている少し広めのスペースが設けられています。 店員さんが「この店はご結婚をされる際の家具セットも取り揃えているんだけど、ご両親と同伴で来る方も多くいるんですよ。ましてや子供さんの入学シーズンともなればご家族連れで来店されて、学習机だ、ランドセルだと店内は結構にぎわうんです。そんな時に大人数でもゆっくりとどの家具にするのかといった話をする場所がいるので、このスペースをつくったんです」とのいきさつを話してくれました。その時ふと小林部長の言葉を思い出しました。 「まず相手の都合からものを考えるということ。レストラン、喫茶店といった従来の延長線上から新規開拓を考えないこと」 案内してくれた店員さんが去った後、店長が来るまでのちょっとした時間に徳田に相談します。 「ここをお客さんが自由に飲料を飲めるスペースにしたらどうだろうか。店内だから機材の管理も楽だし、紙コップを使ってもらったら後片づけも簡単だろう。サービスで飲料を提供してくれて、ゆっくりと品定めができる家具店というだけで、他の店を大きく引き離すことができるんじゃないか。大勢のお客さんも喜んでくれると思うし、この店にとっても悪い話じゃない。ウチにとっても新しい売り場をつくることができる。どうだろう」 横を向いて考える徳田。そのすぐ後に「よし。ダメ元で話をしてみるか」と。