銀シャリ・橋本直が細かく語るお笑い論「ツッコミって、怒りを鎮めるレクイエムです」
お笑いはファンタジーであってほしい
──テレビにもたくさん出られているのに、「芸能界に生きてる感じがしない」のは、なぜでしょうか? 橋本:芸人さん以外に友達がいないからじゃないですかね。芸人さん以外と飲んだことないんです。芸人さんは自分にとって、同じ部署の人という感じですし。人見知りなんですよ。そういう芸人って多いと思いますが。 ──少し話を戻しますと、本を出すなら、漫才論や漫才分析を書かれようという気持ちはなかったのでしょうか。橋本さんは分析力にも言語化能力にも定評があって、たとえばノンスタイル石田さんとのM-1談義(YouTube)は、めちゃくちゃ聴きごたえありました(【M-1談義】NONSTYLE石田明が今1番飲みたい人は、銀シャリ橋本さん。ゆる~く濃くあの話をします)。 橋本:視聴者として、漫才論を見たり聞いたり読んだりするのは好きなんです。でも、演じる側としては、お笑いはファンタジーであってほしい、という気持ちがあります。ネタもなんも考えてません、ただマイクの前にやって来てしゃべってます、っていう感じが自分はいいなあと。 だから、YouTubeなどで漫才についてしゃべらせてもらうのは嬉しいんですけど、ぎりぎりのところで頑張ってる感じです。頑なに語らんとこうとは思ってないですけど、すべてのからくりを明かさないようにしているところはあるかもしれません。
一発逆転ホームランを打つとしたら、ここしかなかった
──そもそも橋本さんは、子供のころは無口でネガティブで、大学時代(関西学院大学)もお笑いサークルなどには入っていなかったんですよね。 橋本:よく「落研だったんですか?」と聞かれるんですが、違うんですよ。なんもやってませんでした。 ──しかし、<人生で発揮した唯一の勇気>によって吉本に入り、お笑いの道に進まれた。なぜこのときだけ、勇気が出たのでしょうか? 橋本:一発逆転のホームランを打つとしたら、ここしかないと思ったんでしょうね。自分は保守的な人間だとわかってたんで、ここで路線を変えないと、このままいってしまうぞと。自分のことを半分好きで、半分は嫌いやったんやと思います。なんにもない22年間に、どこかで決別したいと思っていたんです。 ──<半分は嫌い>は、芸人になって変わりましたか? 橋本:結局、どこにいっても、自分は自分なんですけど……芸人のみなさんによって変えてもらったのかなと思います。芸人にさせてもらった、という気持ちです。
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