ヒトへの「臓器移植用」ブタが国内で誕生。ブタに救われる日が来るかも
ブタは人類を救う。 クローンといえば、一昔前話題になったクローン羊ドリーが思い浮かびます。ドリーの誕生は1996年のことでした。 【全画像をみる】ヒトへの「臓器移植用」ブタが国内で誕生。ブタに救われる日が来るかも あれから28年が過ぎ、現在のクローン技術最先端は、臓器移植用のブタを誕生させるところまで到達しました。
国内では初の誕生
明治大学発のベンチャー企業などのグループが、クローン技術でヒトへの臓器移植を前提とした特殊なブタの生産に成功し、その子ブタが誕生したことを発表しました。 誕生したブタは臓器移植しても拒絶反応が起きづらい遺伝子操作を施されています。 ヒトへの移植を想定したブタが国内で生まれるのは初めてのことで、臨床応用への期待が高まっています。
次のステップはサルへの移植
ブタの臓器をヒトに移植する研究は、移植用の臓器の確保に向け、この数年注目されています。 ポル・メド・テックによると、 臓器移植医療における提供臓器の不足は、喫緊の世界的課題です。 近年の日本では、臓器移植の希望者のうち実際に移植を受けられるのは約3%に留まっており、その一因として臓器提供者の極端な不足(米国の1/60 以下、韓国の 1/9)が挙げられています。 と述べています。 研究グループは今後、研究機関などにブタを供給する予定です。今年のうちにサルへ臓器移植する研究を始める計画です。
実用化に向けた議論も必要に
技術の完成と並行して、実用化にむけて私たちが話し合わなければならない事も生まれています。 大きく2つに分けると①安全面と②倫理面についてです。 ①安全面 ・子孫への影響が不明瞭 クローン動物が妊娠・出産した事例もありますが、クローン技術が子や孫にどのような影響が出るかまだわかっていません。 ・移植による影響 動物から移植を受けることによって、未知のウイルスに感染する危険性も潜んでいます。 ②倫理面 ・特定の表現形質を意図的に生み出すことの影響 特定の人間だけを選ぶ、品種改良につながる。 生まれてくる人間を手段、道具とみなすようになる。 クローン技術で生まれた人間とそうでない人間の間で差別が発生する。 これらは想定される可能性の一部ですが、人類が向き合っていかなければならない課題でもあります。 テクノロジーによって享受できる恩恵と同時に、その副作用とも付き合っていかなければいけません。 しかしブタからの臓器移植が実現すれば、多くの命を救う事が可能です。 もしかすると数年以内には、ブタに作ってもらった臓器を移植する日が来るかも… Sorce: NHK, ポル・メド・テック, 文部科学省
宮城圭介