「AIに感情はない」は過去のもの?最新AIが「会話を打ち切っていいか迷うレベル」で進化していた!
生成AI技術の進化が止まらない。これまでは「できない」「難しい」と言われていた部分を中心に、今も日進月歩で新しいAIや新機能が登場している。例えば、今まで「AIに感情はない」と言われていたが、人間の感情を声や表情から読み取ることができる「Hume」の登場。また、従来は難しかったキャラクターのポーズ指定を簡単に行える「Krea」の画像生成機能。そして、最近のもっともホットな話題といえる楽曲生成AIの三つ巴の戦い~本記事ではそんな三つの最新トピックをお届けする。(テクノロジーライター 大谷和利) 【この記事の画像を見る】 ● 怒ってる?喜んでる?人間の感情を理解しつつあるAI「Hume」 「AIには感情がない」とは、よく言われることだ。そもそも感情とは何かという定義自体も、知能と同じくあいまいなところがあるわけだが、他者とのコミュニケーションを円滑に、あるいは戦略的に行うために人間が進化の過程で身に付けてきたものが感情であるとすれば、Hume(ヒューム)のAIは、それに近いものを実現しつつあるともいえるだろう。 Humeは、元GoogleのDeepMindの研究者が創業し、5000万ドル(約70億円)の資金調達に成功した企業である。音声や表情から人間の感情を高精度に分析するための「感情認識大規模言語モデル」(ELLM:Emotional intelligence of Large Language Models)の開発を行っている。 具体的には、感情の種類を賞賛、崇拝、怒り、不安、喜びなど53に分類し、声のトーンや微妙な表情の違いから、そこにどのような感情がどの程度の割合で含まれているかを的確に判断できるようになっている。
● 声だけでなく、顔の表情からも感情を察知 感情を判断するためのインターフェースとなっているボイスチャット機能も非常に高いレベルにある。実際に公開されている英語のデモチャットで、わざと声のトーンを変えながら試してみると、AI側の応答も発話の内容はもちろん、口調自体が本当に心配したり、元気づけてくれたりするよう変化するので、このスムーズな会話を一方的に打ち切ってしまっても良いものかと躊躇(ちゅうちょ)してしまうほどだ。 これ単体でも、コールセンターなどにおける顧客対応の自動応答に革命をもたらす可能性があるが、Humeのもう一つの柱である表情解析の技術と組み合わせることで、言葉になっていない感情の起伏なども認識できるようになる。もちろん、運用にあたってはプライバシーへの配慮が欠かせないが、たとえば商品テストなどの被験者からの評価をより的確なものとするために、同意を得て使用するようなユースケースなどが考えられそうだ。