いまだ謎多き“1・4事変”とは何だったのか 佐山サトルと小川直也が四半世紀ぶりに再会「よくしようっていうのが大前提」
「(アントニオ猪木は)プロレスを大きくしたい。もっと威厳のあるものにしたい」(佐山)
当時の佐山は、あの騒動を「あれはね、強い者イジメ」と評していたことがある。 佐山「それは(小川に)ピッタリ(な言葉)だね。でもああいうシチュエーションを作る猪木さんはすごいよね」 すでに騒動から四半世紀を過ぎているが、今やあの騒動は、プロレス界には欠かせない“伝説”になった。 佐山「あれがあるからオーちゃんがあるみたいなもんでね」 小川「そういう意味では猪木さんもそうだし、佐山さんもそうだし、やっぱ新日本プロレスをよくしようっていうのが大前提だったですよね」 佐山「大前提。何が悪いかっていうのを叩き込まれているから。猪木さんもそういうことを喋るし、俺も(その言葉を小川に)通訳して喋るし」 小川「だから新日本プロレスをぶっ潰すんじゃなくて、よくしようっていうためにやっていたんですよね。 佐山「そう」 小川「よく新日本プロレスを壊すのかって言われたけど、そうじゃないんですよね」 佐山「そうじゃない。その前の年か。東京ドームでやった時、猪木さんが控室のテレビを見て、モニターを見ていて、『佐山、見てくれよ。今の試合はこうだよ』って文句タラタラ言ってて。『俺はもう見ないよ』って背を向けて。何がそんなに違うのかなと思って見てみたら、俺たちの時代と全然違うし。それを復活させるって、猪木さんには気持ちがあるんだよね」 小川「(猪木は)『闘いがない』っていつも言ってましたよね」 佐山「そうだね」 小川「当然その時代っていうのは佐山さんたちが築かれた時代だし、あの時代なんでしょうね、最初に」 佐山「プロレスを大きくしたい。もっと威厳のあるものにしたい。それにはオーちゃんがピッタリだったね」 小川「そういう話はよく……。尽きなかったですね、毎回毎回」 佐山「毎回毎回、会議があって、飯食いながらでも必ずそういう話をして」 小川「必ず闘いがテーマだったですね、話し合いの中では」 四半世紀前の話とはいえ、アントニオ猪木の教えは常に、そこに「闘い」があるか否か。時代は変わろうと、そこだけは譲れないのが“燃える闘魂”の残したかった、最大にして唯一の思いだったに違いない。 (一部敬称略)
“Show”大谷泰顕